犬と赤ちゃんは同居できるのか?メリットやコツ、準備すること、同居後のケア

犬 赤ちゃん

愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。


犬を飼っている飼い主さんが出産をする際には、これから始まる新生活が楽しみであると同時に「愛犬と赤ちゃんが上手く同居することができるのか」「感染症は?」と心配事も多いですよね。

赤ちゃんが生まれる前に準備しておいた方が良いことや、感染症対策など「知って」いればなくなる不安もあります。

この記事では、犬と赤ちゃんは同居できるのか? そのメリットやコツ、準備すること、同居後のケアなどをまとめました。

 

犬と赤ちゃんは同居ができるか

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基本的に愛犬と赤ちゃんを同居させることはできますが、時期や犬種など注意が必要な場合もあります。

 

同居できる時期

赤ちゃんと犬を同居させる際に気になることとして挙げられるのが感染症です。しかし家庭でペットとして飼育されている犬からの感染症は、予防接種や清潔を心がけるなどの適切な対応を取ることで防げます。

赤ちゃんが生まれる前から飼育をしている愛犬がいる場合、愛犬とともに赤ちゃんを育てても大丈夫です。

ただ最初は愛犬のストレスを軽減させる意味でも、赤ちゃんと愛犬は別々の部屋で生活をさせて、徐々にふれあう時間を増やすようにしてあげることが適しています。

 

犬種によっては注意が必要

比較的同居しやすい犬種
穏やかな大型犬 セントバーナード、ラブラドールレトリバー など
人懐っこい小型犬 トイプードル、パピヨン など

比較的に赤ちゃんとの同居に向いている犬種は、セントバーナードやラブラドールレトリバーなどの穏やかな性格の大型犬や、トイプードルやパピヨンなど人懐っこい小型犬です。

逆に臆病な性格で警戒心が強く、飼い主さん以外の人間や他の犬が苦手な子は、基本的に同居に向いていません。

また赤ちゃんと同居をさせるにはしつけを行う必要があります。

犬のしつけを行ううえで大切なことは、愛犬との信頼関係です。犬は元々群れで生活をする動物で、群れの中での上下関係は絶対でした。愛犬との間に確かな絆を築けていれば、愛犬は飼い主さんを群れの「リーダー」と認め、指示を聞くようになります。

赤ちゃんが産まれる前に基本的なしつけを行っておくことが理想です。

 

犬と赤ちゃんが一緒に暮らすメリット

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一緒に暮らすメリット

免疫力の向上
犬が守ってくれる
良いパートナーになる
命の尊さを学ぶ

赤ちゃんが愛犬と生活を共にすることで得られるメリットは多くあります。

 

免疫力が向上する

最近の米国の研究において「赤ちゃんの頃から動物とふれあって育った子供はアレルギーを起こしにくい」という結果が報告されています。

犬をはじめとした動物とのふれあいで、動物が保有する様々な菌に触れることで免疫力が養われるとされます。実際、小児科医が行った研究でも「犬を飼育している家の子供は風邪をひくことが少ない」との結果も出ています。

赤ちゃんのうちから愛犬とふれあわせることで、免疫力の向上が見込めます。

 

犬が守ってくれる

犬は小さい生き物を「守るもの」と認識する母性本能を持ち合わせています。

たとえ赤ちゃんが自分より大きくとも、飼い主さんの赤ちゃんに対する接し方や様子を見て、優しく接するようになります。

いつも自分を守ってくれる愛犬がいることで、赤ちゃんにとって愛犬は「安心のできる存在」になり、精神面にも良い影響をもたらします。

 

良いパートナーになる

飼い主さんにとって愛犬が我が子同然の大切な存在であると同様に、子供にとっても幼い頃から生活を共にし兄弟姉妹のように一緒に成長して来た愛犬は、かけがえのない家族であり「親友」でもあります。

親や友人に話せないような悩みも、愛犬には話すことがあるという子供も多いです。嬉しい気持ちも、悲しい気持ちも共有し、そばで見守っていてくれる愛犬は子供にとって最高のパートナーとなります。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
海外には「R.E.A.Dプログラム」というものがあります。これは子どもたちに犬に本を読み聞かせしてもらうプログラムです。このプログラムにより、子どもたちの自尊心が向上したり、自信を持つことができるそうです。

 

命の尊さを教えてくれる

悲しいことですが犬の寿命は人間より短かく、「愛犬の死」は避けては通れないものです。

子供は愛犬の死を通し「命の尊さ」を学びます。命が失われたら二度と戻らないこと、命が失われたら悲しむ人たちがたくさんいること。愛犬からの最期の教えはしっかりと子供の心に刻まれるはずです。

 

犬と赤ちゃんが一緒に楽しく暮らすコツ

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一緒に暮らす際に気をつけること

犬アレルギー
感染症
愛犬と赤ちゃんだけにしない
愛犬のしつけ
愛犬の世話の分担

愛犬と赤ちゃんを同居させる際には、気をつけなくてはならないこともあります。

 

犬アレルギーに気をつける

赤ちゃんと愛犬を同居させる際、最も気をつけたいことはアレルギー対策です。

「犬アレルギー」のアレルゲンは、犬の被毛やフケ、唾液などに含まれています。それらに付着したアレルゲンが人間の体内に侵入した際に、アレルギー反応を起こします。

軽いものでは、目の充血やかゆみ、咳、鼻水などの症状が現れます。症状が重くなると下痢や呼吸困難、めまいなどが引き起こされる恐れがあります。

定期的にトリミングやシャンプーを行ったり、室内の掃除をこまめに行ったりするほか、赤ちゃんと愛犬が生活する空間をできるだけ分けて、赤ちゃんのいる部屋にアレルゲンを持ち込まないことが理想です。

完全にアレルゲンを取り除くことは非常に難しいので、神経質になりすぎずにできる範囲での対策を行うと良いですね。

 

アレルギーの原因

先にも紹介したように、犬アレルギーのアレルゲンは犬の被毛やフケ、唾液などに付着しています。

赤ちゃんがアレルギーを発症するかどうかは、愛犬と生活を共にしてみなければわかりません。

「小さい頃から犬と触れあっていると免疫ができるため、アレルギー体質になりにくい」との意見がある一方、「アレルギーを発症させないためには、なるべくアレルゲンに近寄らない方が良い」との意見もあり、どちらが有効であるのか分かっていません。

アレルギーの発症原因で最も多いとされるのはハウスダストです。犬アレルギーであると判断するには検査を行うことになります。

万が一、赤ちゃんが犬アレルギーを持っていたとしても「できること」はあるので、すぐに愛犬を手放すという選択は取らないでください。

 

部屋を別々にする

愛犬が赤ちゃんのいる部屋に入れないようにすることにより、赤ちゃんがアレルゲンに触れる機会を減らすことができます。

また子供が成長していく過程でアレルギーが治ったという事象も多くあります。

 

空気をきれいに保つ

近年では温度管理をされた室内で飼育をされる犬が増えています。そのため季節に関係なく一年を通して換毛する犬も多いです。特にゴールデンレトリバーやボーダーコリー、ポメラニアンなどのダブルコートを持つ犬種は抜け毛が多いです。

アレルゲンを付着している可能性のある被毛やフケが空気中に舞う恐れがあるので、こまめに掃除をして抜け毛を回収します。

空気清浄機や換気を行って部屋の空気をきれいに保つことも有効な手段です。空気清浄機を使用することでアレルゲンをかなり軽減することが可能で、実際にアレルギーを持っている人の症状が抑えられたという事例もあります。

また床に落ちている犬の抜け毛やフケを吸い込むことがあるため、赤ちゃんを直接床に寝かせることは避け、なるべくベビーベッドを使用して、床からの距離をとることをおすすめします。

 

部屋を掃除する

部屋の清潔を保つことは、アレルギー対策でとても重要なことです。

いきなり掃除機をかけるとアレルゲンが空気中に舞う恐れがあるので、先にウエットティッシュや濡れ雑巾などで軽く拭き掃除を行うことが好ましいです。

 

ブラッシングやシャンプーで清潔を保つ

赤ちゃんと愛犬が快適に過ごすために、愛犬のシャンプーやブラッシングをこまめに行うことも大切です。

シャンプーを行うことで8割以上アレルゲンを減らすことができるとの報告もあり、犬アレルギーや愛犬の皮膚病へも有効です。

ブラッシングの際には蒸しタオルで体を拭いてあげると、抜け毛が舞い上がりにくく被毛もきれいに保つことができます。「汚れを落とす」という意味で、ブラッシングを行うタイミングは散歩の後が適しています。

赤ちゃんがいると、それまでのようには散歩の時間が取れなくなることもあります。シャンプーやブラッシングは、愛犬とコミュニケーションを取れる良い時間ともなるので、積極的に行うと良いですね。

ただ犬によってはシャンプーのし過ぎで炎症を起こす恐れもあるため、どのくらいの頻度でシャンプーを行えば良いのか、一度獣医師に相談してください。

 

感染症に気をつける

感染症例

サルモネラ菌
カンピロバクター菌
回虫
ノミ・ダニの寄生

動物は人間が本来持っていない様々な細菌を保有しています。

犬だけが感染する感染症以外に、犬と人間共に感染する「人獣共通感染症」と呼ばれる病気もあります。もし犬が感染症を発症した場合、赤ちゃんにも感染する恐れがあります。抵抗力の弱い赤ちゃんは重症化しやすいため、十分な注意が必要です。

感染させないためにも、愛犬に予防接種をきちんと受けさせることは大前提です。赤ちゃんとの同居が始まる前に健康診断や予防接種を済ませておくことが大切です。

普段の生活の中で、飼い主さんは「愛犬とふれあった際には手を洗う」「部屋や愛犬の使用している食器、おもちゃ、トイレなどを清潔に保つ」などを心がけてください。

また赤ちゃんがハイハイをするようになったら、愛犬のトイレや食器に触れないように「べビーフェンス」のような柵を使用することをおすすめします。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
アレルギーと同様、生後3か月までは別々の部屋で過ごす方がいいでしょう。

 

サルモネラ菌

サルモネラ菌とは腸内細菌のサルモネラ属の総称で、自然界に広く分布しています。

感染源のほとんどは生肉や卵など動物由来の食材が多いですが、犬や猫などのペットとのふれあいの中で感染することもあります。

潜伏期間は半日〜3日程度で、腹痛や下痢、嘔吐、発熱など食中毒の症状を起こします。

 

カンピロバクター菌

日本国内で発生する食中毒の原因の中でノロウィルスに次いで多いのがカンピロバクター菌です。

サルモネラ菌と同様に主な感染源は生肉で、菌に感染した人や動物の排泄物からも感染します。

潜伏期間は1〜7日程で、下痢や嘔吐、発熱を伴います。

 

回虫

回虫は人間や犬、猫などの哺乳類の小腸に主に寄生しています。犬が最も寄生されやすい線虫です。

世界的に見てもその寄生率は高く、人間への感染も多く見られます。

回虫が腸の中でおとなしくしている感染初期は症状が現れにくいですが、幼虫が体内へ広がって行くと激しい腹痛や発熱、嘔吐などの症状を引き起こします。

 

ノミ・ダニの寄生

ノミやダニは犬や猫、人間などの生き物に寄生して、その血や皮膚を栄養に生息しています。

ノミやダニそれぞれの種類により寄生先が異なることもありますが、犬への寄生が多いマダニやヒゼンダニなどは犬だけではなく人間にも感染します。

感染すると皮膚の炎症やダニを媒介して「重症熱性血小板現象症候群(SFTS)」、「回帰熱」などを発症する恐れもあります。

 

対策方法1:食事の前は手を洗う

愛犬に触れた後、食事や口にする食べ物に触れる際には、手を洗うことを習慣づけます。テーブルやキッチンなどに消毒液を置くこともおすすめします。

 

対策方法2:犬のトイレを清潔にする

感染源となる菌や寄生虫が愛犬の排泄物から人間へ感染する可能性があります。そのためトイレやその周辺を常に清潔にして置くことが重要です。

特にうんちは放置をせず、速やかに処理するようにしてください。

 

対策方法3:犬を室内飼育にする

外で飼われている愛犬は、室内で飼われている愛犬よりノミやダニ、寄生虫に感染するリスクが高いです。

室内飼いにすることで感染のリスクが減少するほか、愛犬自身も清潔を保てます。

 

対策方法4:寄生虫駆除・ノミ・ダニ対策をする

室内で飼われている愛犬でも散歩や病院への通院などで外へ出る機会はあるため、感染症のリスクはゼロではありません。そのため、ノミやダニへの対策をしっかりと行っておくと安心です。1ヶ月に1度皮膚につければ良いだけの薬もあります。

犬を飼い始める際には検便をし、必要があれば「虫下し」を行います。駆虫後は散歩の際に変なものを口にしない限りは感染のリスクは減りますが、年に1回定期的な検査を行うことでさらなる安心を得られます。

 

対策方法5:犬に口をなめさせない

犬は愛情表現の一つで、大好きな飼い主さんの顔や口の周りをなめることがあります。

スキンシップの一環として許容している飼い主さんも多いと思いますが、口を直接なめさせることは感染のリスクを高めることになるので、やめさせるようにしてください。

 

対策方法6:犬に生肉を食べさせない

生肉には感染の原因となる菌が付着している可能性が高いです。オランダの大学による研究でも、生肉には多くの菌や寄生虫が付着しているとの報告がされています。

愛犬への感染を回避するためにも生肉は与えないことが賢明です。

 

犬と赤ちゃんだけにしない

赤ちゃんと愛犬が同じ部屋で過ごす際には、飼い主さんも一緒の部屋にいるようにしてください。

もし部屋を離れる場合は、愛犬を別の部屋へ連れて行くかケージに入れるようにします。

きちんとしつけを行なっている愛犬でも万が一があるため、目を離さないようにすることが大切です。

 

犬のしつけをする

赤ちゃんと愛犬が安全に暮らすためには、愛犬のしつけをしっかりと行うことが重要です。赤ちゃんが生まれる前に基本的なしつけをしておくことが望ましいです。

赤ちゃんは抵抗力が弱いため、愛犬とのふれあいの中で感染症にかかるリスクは高いです。そのため愛犬がむやみに人間の顔や手をなめないようにしつけることが大切です。

また愛犬の「飛びつき」も非常に危険です。赤ちゃんを抱っこしている際や、ベビーベッドで寝ている赤ちゃんに飛びつかれると、赤ちゃんがケガをする恐れがあります。リスクを回避するため、飛びつかないしつけも必要です。

そのほかにも、トイレトレーニングをきちんと行うことで感染症対策になります。

 

しつけが必要な理由

犬は元々「群れ」を作りその中でお互いを守り合い、協力し合って生きていた動物です。そこには群れを統率するリーダーがいて、リーダーは群れに責任を持ち、メンバーはリーダーに従うことで厳しい自然界を生き延びてきました。

人間のペットとして飼われている犬も本来の習性から、飼い主さん家族を群れとみなします。飼い主さんが必要以上に愛犬を甘やかすと、愛犬は自分の立場が飼い主さんより上=自分がリーダーだと認識をし、飼い主さんのいうことを聞かなくなります。

また飼い主さんに自分のいうことを聞かせようと、暴力的になることもあります。

赤ちゃんとの暮らしの中で、そのような事態は避けなくてはなりません。赤ちゃんが生まれる前に、愛犬には上下関係をしっかりと覚えさせる必要があります。

 

子供が苦手な犬は多い

子供は突然大声や叫び声をあげたり、いきなり走り出したりと予測不能な行動を取ることが多く、犬との接し方も乱暴な場合があります。そのため子供が苦手な犬は意外に多いです。

愛犬と赤ちゃんが自然に仲良くなるとは思わずに、飼い主さんが愛犬と赤ちゃんの様子をしっかりと観察してフォローすることが大切です。

飼い主さんとの間に信頼関係が築けていれば、飼い主さんが「大切にしている赤ちゃん」を愛犬も「家族の一員」と認識をして、愛情を持って接するようになります。

 

飼い主がリーダーと認識させる

先に紹介したように、犬は群れを作ってリーダーに従い生きてきました。その性質は人間と生活を共にするようになってからも基本的に変わっていません。

人間との暮らしの中では、人間がリーダーでなくてはなりません。リーダーは愛犬を「支配」する者ではなく「導き、守ってあげる」者です。

愛犬のリーダーになるためには、愛情を持って一貫した態度で良いことと悪いことの区別を教えることが大切です。飼い主さんが曖昧な態度で接すると犬は不安になり、飼い主さんを信頼できなくなります。

飼い主さんをリーダーだと認めた愛犬は、飼い主さんに全幅の信頼と愛情を持ちます。そして大好きな飼い主さんの「大切な存在」である赤ちゃんも尊重するようになります。

 

最低限のしつけはマスターさせる

赤ちゃんと同居するうえで、愛犬に基本的なしつけを行うことが大切だと紹介してきましたが、特に「アイコンタクト」「待て」「お座り」のコマンドや「社会化」を学ばせることが重要です。

アイコンタクトができると、愛犬は飼い主さんの「ダメ」「良い」などの表情をきちんと見るようになります。また待てやお座りのコマンドで愛犬の行動をコントロールし、赤ちゃんとの接触を止めたり、興奮を鎮めたりすることもできます。

また愛犬がほかの犬と円滑な関係を築いたり、人間との暮らしの中で過度に怯えパニックを起こしたりしないように、子犬のうちにほかの犬や飼い主さん以外の人間とふれあわせ、人間社会に慣れさせることも大切です。

しつけは飼い主さんが犬の習性を理解し愛情を持って向き合えば、愛犬が教えをマスターすることはそう難しいことではありません。しかしどうしてもしつけが上手くいかない場合は、「パピークラス」や「しつけ教室」などを利用することをおすすめします。

「パピークラス」や「しつけ教室」は愛犬を預けて訓練を行うものではなく、愛犬と飼い主さんが一緒に参加できるプログラムを選ぶことが好ましいです。飼い主さんも愛犬への正しい接し方を学ぶことができるので一石二鳥です。

 

世話の分担を決める

赤ちゃんの世話は想像以上に大変なものです。産後のお母さんはホルモンバランスの変化もあり、愛犬の世話を負担に感じることもあるかもしれません。

犬は毎日の散歩が必要ですが、その時間を取ることも難しくなる場合もあります。散歩へいけない愛犬はストレスが溜まり、それが問題行動を起こす原因となる可能性もあります。

家事や赤ちゃんと愛犬の世話全てを一人で担うことは不可能に近いです。家族内でそれぞれ担当を決めて行うことが望ましいです。

ペットシッターや愛犬の預かりサービスなども上手に利用して、飼い主さんも愛犬もストレスを感じない生活を送ることが理想です。

 

犬と赤ちゃんを会わせる準備をする

犬 赤ちゃん

会わせる前の準備

愛犬の不安を軽減する
愛犬をよそに預けない
胎児にときに愛犬の声を聞かせる
赤ちゃんのニオイを嗅がせる
愛犬をほめる

赤ちゃんと愛犬をスムーズに対面させるためにやっておくと良いことがあります。

 

愛犬の不安を軽くする

犬は環境の変化に比較的適応しやすい動物ではありますが、いきなり赤ちゃんと会わせることは好ましくありません。

赤ちゃんが生まれる際、赤ちゃんを迎える準備で慌ただしくなったり、家の中の様子が変わったりと犬の生活環境にも変化が生じます。そして出産予定日が近づくにつれ、家族はいまかいまかと緊張感が増していきます。

その様子をそばで見ている犬も、いつもと違う空気に不安やストレスを感じています。

普段と変わらぬコミュニケーションを心がけ、愛犬のストレスを少しでも和らげてあげることが大切です。

 

愛犬をよそに預けない

赤ちゃんを家に連れて帰って来る際には、「愛犬が待っている家」に連れて帰ることが理想です。

「落ち着くまで」とよそへ預けられていて、何日か後に家に帰ったらいきなり「自分の知らない赤ちゃんがいる」という状況になると愛犬が混乱します。

犬は飼い主さんの表情や行動を敏感に感じ取ります。赤ちゃんを迎え入れる準備をしている飼い主さんの姿や家の様子の変化を自分の目で見ることにより、これから環境が変わることを理解し、徐々にその変化を受け入れやすくなります。

 

胎児のときに犬の声を聴かせる

「胎教」という言葉があるように、赤ちゃんはお母さんのお腹の中で色々な「音」を聞いています。そして胎内で聞いていた音を好む傾向にあります。

胎内にいる赤ちゃんに愛犬の鳴き声を時々聞かせておくと、生まれてきた赤ちゃんがその鳴き声を覚えている可能性があり、犬の鳴き声にあまり驚くことがないとされています。

 

赤ちゃんのニオイに慣れさせる

犬はニオイから対象物の情報を得ようとするため、ニオイに敏感です。特に飼い主さんが香水をつけていたり、お昼に食べた焼肉のニオイがついていたり、いつもと違うニオイを発しているとしつこくチェックをします。

赤ちゃんのニオイを「不審なニオイ」だと思わせないために、赤ちゃんが生まれたら赤ちゃんのニオイのついたタオルを事前に愛犬に嗅がせておくことで、愛犬の警戒心を軽減させることができます。

 

愛犬をほめてあげる

犬にその行動は「良いこと」だと教えるには「褒める」ことが大切です。

赤ちゃんと愛犬が初めて対面した際に、愛犬がフレンドリーな態度で赤ちゃんに接することができたならば優しく褒めてあげると良いです。

しかし犬にとっては愛情表現である、人間の「顔や口をなめる」行為は衛生的に良くないのでやめさせるようにします。また犬の爪は非常に固いので、赤ちゃんの皮膚を傷つけないように十分な注意が必要です。

 

犬と赤ちゃんが同居した後のケア

犬 赤ちゃん

同居した後のケア

愛犬のメンタルケア
愛犬と赤ちゃんを優しく見守る

愛犬と赤ちゃんを対面させた後に気をつけたいことを紹介します。

 

愛犬のメンタルケアをする

犬は環境の変化に適応しやすいとはいえ、多かれ少なかれストレスを感じています。愛犬の健康のためにも、メンタルのケアを行う必要があります。

赤ちゃんに愛情を独占されると、嫉妬をする場合もあります。

飼い主さんの気を引くためにいたずらや破壊行為、無駄吠え、排泄をわざと失敗するなどの行動を取ります。そのような場合でも、叱らず寛容な心で受け止めてあげることが大切です。環境に慣れることで段々と落ち着きを取り戻します。

そして愛犬に愛情を伝えるためにも、今までと変わらぬスキンシップを取ることが重要となります。そうすることで「自分も大切にされている」と実感し、安心することができます。

また環境の変化に対応しきれずに体調を崩す犬もいます。下痢や脱毛などのストレスが原因の症状が見られたら獣医師に相談をしてください。

 

愛犬のストレス軽減のためにできること

愛犬のストレス軽減のためにできること

落ち着ける場所を用意する
毎日散歩に連れ出す
十分に運動させる
赤ちゃんの乱暴を飼い主が止める
スキンシップの時間を持つ
愛犬と赤ちゃんだけで放置しない

赤ちゃんと同居することで抱える愛犬のストレスを少しでも軽減するために、飼い主さんは上記のようなことに配慮をしてあげると良いですね。

 

愛犬と赤ちゃんを優しく見守る

愛犬が赤ちゃんに近づいたら、すぐに「ダメ」と制止をせずに様子を見守ってください。最初は赤ちゃんが泣いたり、愛犬が素通りをするかも知れません。しかし一緒に生活をして行く中で、愛犬が段々と赤ちゃんに興味を示すようになります。

飼い主さんと赤ちゃんが遊ぶ際に愛犬も仲間に入れると、「赤ちゃんと遊ぶことは楽しい」「赤ちゃんと遊ぶと飼い主さんが喜んでくれる」と認識し、赤ちゃんに対して友好的になります。

愛犬は飼い主さんの気持ちに敏感です。飼い主さんが心配しすぎて不安な気持ちでいると、愛犬が赤ちゃんとの関係に戸惑いを持ちます。またそれは赤ちゃんにも同じことがいえます。

赤ちゃんと愛犬に良い関係を築かせたいのならば、思わぬ事故が起こらぬよう細心の注意を払いながらも、飼い主さんがどんと構えることが重要なポイントとなります。

 

犬を赤ちゃんの出産後に飼いたい場合

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赤ちゃんが生まれた後に犬を迎え入れたい際には、本当に犬の世話をできるのか十分な検討が必要です。

犬を飼育するには散歩やご飯、排泄の処理、ブラッシングなどの日常の世話や基本的なしつけなど行わなくてはならないことが多く、想像以上に手間やお金がかかります。

シャンプーやブラッシングで犬自身を清潔に保つことやトイレの掃除などは、赤ちゃんがいる家庭ではよりこまめに行う必要もあります。

犬を飼うタイミングが本当に今であるのか、迎え入れた際に責任を持って飼育することができるのか、自身の生活スタイルをしっかりと考慮して迎え入れるようにしてください。

 

新しい家族のスタイルを

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赤ちゃんと愛犬の同居には、感染症や思わぬ事故など気をつけなくてはならないこともありますが、それ以上にメリットも多くあります。

愛犬と赤ちゃん、両者が快適に楽しく過ごすことができるようにしっかりと準備をし、新しい家族のスタイルを築き上げて行けたら良いですね。

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