うさぎといえば、ぴょんと伸びた長い耳がトレードマークですが、地面につくほど垂れた耳をもった種類のうさぎをご存知でしょうか。
名前は「ロップイヤー」といい、もこもこした見た目が愛らしいうさぎです。
この記事ではロップイヤーの特徴や性格、飼い方をまとめました。
この記事でまとめたこと
ロップイヤーの歴史

ロップイヤーは、スペイン原産のアナウサギを品種改良してつくられたうさぎです。
アナウサギは毛皮をや食用の肉をとるために家畜化されてきたため体つきが大きいのが特徴ですが、ロップイヤーは徐々に改良が進められ今は小型の個体も多くなっています。
ロップイヤーの特徴

特徴
- 大きく垂れ下がった耳
- 丸く潰れたような鼻
ロップイヤーの特徴といえば、大きく垂れ下がった耳。そして丸く潰れたような鼻が挙げられます。
日本ではネザーランドドワーフ(最も小さなペット用うさぎ)と人気を二分しており、穏やかな性格で飼育しやすいことから定番品種としてペットショップでもよく見かけます。
子うさぎをはじめ、中には耳の垂れていないうさぎもいますが、成長にしたがって垂れ耳になっていきます。
ロップイヤーの種類

種類
- イングリッシュロップ
- フレンチロップ
- ホーランドロップ
- アメリカンファジーロップ
- ライオンロップ
ロップイヤーと一言でいっても毛色や大きさ、見た目はさまざまです。いくつかの種類をご紹介します。
イングリッシュロップ
ロップ種の原種で、世界ではじめてペット用に改良されたといわれるイングリッシュロップ。特徴は地面に垂れ下がるほどの長い耳です。中には耳を広げると70cmを超える個体もいます。
そのため広いスペースで飼育し、耳の手入れをこまめに行うことが必要です。性格はおとなしくよく懐き、甘えるような姿も見せてくれます。
フレンチロップ
イングリッシュロップとバタフライラビット(7kg前後の大型種)を掛け合わせたうさぎです。体が大きく、耳はイングリッシュロップよりは長くありませんが広げると40cmほどになります。
性格は人に慣れやすく穏やかですが、大き目なのでキック力も強くパワフル。広い飼育スペースやストレスの溜まらない環境が必要です。
ホーランドロップ
フレンチロップとネザーランドドワーフを掛け合わせたもので、純血種ではなく雑種に近い位置づけになります。
垂れ下がった耳と丸みのある体型が特徴で、ロップ種の中でも最小の品種であることからミニロップとも呼ばれます。毛色のカラーバリエーションが豊富で30種類以上あります。
うさぎは基本的に警戒心が強い動物ですが、ホーランドロップは穏やかで懐きやすく、好奇心旺盛な種類なので初心者にもおすすめです。
アメリカンファジーロップ
アメリカンファジーロップは、ホーランドロップとアンゴラウサギ(長い被毛で被われた長毛種)を交配してつくられたファジーホーランドという品種がもとになっています。
アンゴラウサギの血を引いているため、ロップ種の中でも長毛なのが特徴です。
ライオンロップ
顔の周りにライオンのたてがみのような飾り毛のあるのが特徴で、ライオンラビットと呼ばれます。
ロップ種の中でも比較的新しい種類で、大きさや体毛など個体差にばらつきがあります。
賢くおとなしい性格で飼育しやすい種ですが、賢いため手抜きには敏感です。丁寧な飼育を心掛けるようにしてくださいね。
ロップイヤーの毛並み

ロップイヤーの毛色パターンはさまざま。一般的にペットショップなどで見られるものをご紹介します。
セルフ
すべての毛色のベースとなっているもので、1色で構成されています。「ソリッド」ともいわれます。
シェイデッド
耳や鼻先、足、背中、しっぽの色が濃く、お腹や毛先に向かって色がグラデーションになっています。
「サイアミーズ」「セーブルポイント」「トータスシェル」と呼ばれる毛色もシェイテッドグループに入ります。
ブロークン
全体的に白ベースで、そこに違う色がぶちのように入っている毛色はブロークンといいます。
目の周りや背中、鼻、耳に少しだけぶちが入るものは「チャーリー」、 斑点状のぶちのあるものを「スポッテドパターン」 、帯状の模様のあるうさぎを「ブランケットパターン」、 白ベースに2色以上のぶちがあるものを「トリカラー」 、パンダの模様に似ている「パンダウサギ」 の他、その他アグーチ、タンパターン、ワンドバンドなどの種類の毛色もブロークングループになります。
ロップイヤーの大きさ

大きさ
- 体長:30〜50cm
- 体重:1.5〜5kg
ロップイヤーは種類によって体の大きさにかなりの差があります。一番小さいホーランドロップは1.8kg前後が標準で、フレンチロップなど大型種は6kgを超えることもあります。
ペットショップで販売されているものは純血種ではなく雑種であることも多いため、どの種類の遺伝子が入っているかで大きさが変わります。
ロップイヤーの性格

性格
- 穏やかで懐きやすい
- 好奇心旺盛
- 賢い
ペット用に改良されたため、全体的に穏やかで懐きやすくうさぎの中では飼いやすくなっています。
好奇心旺盛で遊ぶことが大好きなので、毎日見ても飽きません。すんなりと抱っこさせてくれる個体もおり、うさぎと触れ合いたい人には特におすすめです。
一方でロップイヤーは賢い個体が多く、お世話を手抜きすると敏感に感じ取って懐かなくなることもあります。丁寧に心を込めて世話をするようにしてください。
また繊細で骨折しやすいので、遊ぶ際は物にぶつかったり高所から落下したりしないよう注意が必要です。万が一骨折した場合は、速やかに動物病院を受診してくださいね。
ロップイヤーの寿命

寿命
- 5〜7年前後
飼育環境によって寿命は大きく増減しますが、一般的におよそ5~7年ほどといわれています。
健康状態や餌の種類・与え方、衛生管理などの状態によっては10年以上長生きするものもいれば、1年未満の短い寿命のものもいます。長生きさせるには、定期的に動物病院で診てもらうことも重要です。
ロップイヤーがかかりやすい病気

かかりやすい病気
- 毛球症
- ソアホック
毛球症
猫と違って毛玉を吐き出すことができずお腹に溜まってしまうことで、食欲不振や便秘を引き起こす病気が毛球症です。こまめなブラッシングでケアできます。
ソアホック
手足の毛が抜け、皮膚が床に触れて擦れ炎症が起きる病気です。放置すると皮膚の炎症や傷が深くなり、一番上の皮膚部分がえぐれた状態になります。
ペットショップでの販売

ロップイヤーはうさぎの中でも人気種なので、多くのペットショップで販売されています。
いろいろな種類の血が混じった雑種であるケースも多いため純血種を求めるのであれば、うさぎ専門のペットショップやブリーダーを訪ねるのがおすすめです。
値段
生後何ヶ月か、血統書付きか、種類などにより大幅に値段が変わますが、1~8万円程が目安となります。ホーランドロップは2~3万円ほどです。
ほかの種類の場合はミニウサギは3000~1万円、ネザーランドドワーフは1万5000~3万円となっています。
ロップイヤーの飼い方

ロップイヤーを飼育する上で揃えておきたいアイテムを「必須」「あると便利」「食べ物」の3つに分けて紹介します。
ロップイヤーの飼育に必要なグッズ
必須アイテム | |
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ケージ | 5,000~1万5,000円(セット販売も有り) |
カンファペット | 2,840円 |
給水機 | 500~1,000円 |
トイレ | 500~1,500円 |
牧草入れ | 1,000~3,000円 |
陶器の食器 | 1,000~2,000円 |
ペットシーツ | 1,000円 |
かじり木 | 300円 |
ブラシ | 700円 |
爪切り | 1,000円 |
除菌・消臭にカンファペット
カンファペットはケージの掃除だけでなく、耳の掃除やお尻周り、涙やけの拭き処理にも使うことができます。
成分は次亜塩素酸ナトリウム・酸性剤・純水のみなので、強力な除菌・消臭力を兼ね備えていながらも万が一ペットの目や口に入ってしまっても安全です。

カンファペットについてより詳しく知りたい方はこちら
あると便利なアイテム | |
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牧草マット | 300~1,500円 |
タオル | 300~500円 |
隠れ家ハウス | 2,000~3,000円 |
移動用バッグ、リュック | 2,000~3,000円 |
食べ物 | |
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牧草 | 500~1,000円 |
ペレット(ラビットフード) | 500~3,000円 |
ドライフルーツ | 300~500円 |
野菜 | 300~500円 |
チモシー(イネ科の多年草) | 1,000円 |
ロップイヤーの飼育の注意点

夜行性のため午前〜お昼過ぎくらいまではおとなしく過ごし、夜になるとケージの中を走り回ったり、ケージを噛んだりとテンションがあがります。でもしっかりしつければ夜も静かに過ごします。
声帯はありませんが鼻で音を鳴らすことにより感情を表現します。音量は犬や猫と比べると小さく、近所迷惑になることはありません。
ただ、うさぎによってはケージを噛む音がうるさくて近所迷惑になることがあるので注意してください。
ケージの広さに注意する
大型種のロップイヤーは、ケージの広さが必要です。ただし縄張りであるスペースが広すぎると、逆にストレスになるので、個体に合った適度な広さにしてください。
生後1か月以降のうさぎを選ぶ
うさぎはデリケートな動物で急な環境の変化やストレスに弱く、若すぎると突然死してしまうことがあります。初めてうさぎを迎えるのであれば、生後1か月以降のうさぎを選ぶことをおすすめします。
初日に無理をさせない
家に連れ帰って、すぐに抱っこしたりゲージ外で遊ばせたりするのはNGです。
急な環境の変化で戸惑っているので、まずは部屋の匂いや環境に慣れさせ、ここが安全だとわかるまで静かに見守ってください。環境に慣れてくれば自分から飼い主さんに反応します。
ゲージ内の環境は、できればペットショップと同じ配置にすると早くトイレも覚えてくれますよ。
初心者は多頭飼いしない
うさぎ同士には相性があり多頭飼いは経験者でも手こずります。万が一相性が悪いとケンカをして弱いうさぎはストレスにより死んでしまうこともあります。
部屋の温度を保つ
自分で体温調節ができないので、部屋の温度には配慮してください。夏は24~26℃、冬は20~24℃ぐらいが適温になります。
夏はひんやりするペット用のマット、冬はウサギ用のヒーターなどグッズを使うのもおすすめです。
餌はチモシーとペレット
基本チモシーとペレットを食べます。チモシーは切らさないようにし、ペレットは決まった時間に2回与えるようにします。ペレットの量は子うさぎは体重の4%、大人は5%が目安です。
チモシーやペレットには種類があり、急に変えると食べないことがあるので徐々に帰るようにしてください。おやつには野菜や果物などを与えます。
トイレの掃除
うさぎの尿は放置すると固まって尿石になってしまいます。固まると掃除が大変なので、うさぎのトイレ砂、ゲージを掃除する尿石に効くスプレー、ウッドリターを用意しておくと対策になります。
またトイレはロップイヤーが隠れられるハウスを用意してあげるのがおすすめです。
爪切りの方法
うさぎは抱っこが苦手なので、自宅での爪切りが困難なこともあります。その場合は無理をせず動物病院でケアしてもらうようにしてください。
しつけは根気よく
しつけとはいえ、暴力は怖い印象しか残らないためNGです。粗相や家のものをかじったときは、床や手を叩いて大きい音を出すようにします。
またうさぎのほとんどは抱っこが嫌いなので、だっこの練習は徐々に行ってください。抱っこができたらおやつをあげたり頭を撫でたりしたり、気長に慣れていくのを待ちます。
性格やしぐさは雄と雌でも違いがあります。
雄はなつきやすいですが、発情期になると周囲におしっこを飛ばすマーキング行為をするのでゲージの周りをタオルで囲うなど対策が必要です。去勢でほぼ落ち着きます。
雌は発情期になると偽妊娠をして、自分の毛をかじったり、牧草を一か所に集めて巣づくりをしたりします。巣を壊すと何度もつくり直したり、毛をかじったり偽妊娠が長引きますので構わずそっとしてあげてください。
1日に一度はケージの外で遊ばせる
うさぎは遊ぶのが大好きなので、一日一度はケージの外へ出して遊ばせてあげてください。ただカーペットなどを引っかいてボロボロにすることもあるため注意が必要です。
ロップイヤーの耳掃除はどうすればいいの?
そもそも耳掃除は必要なの?
うさぎは自分で洗顔や毛繕いをしますが、垂れている耳の中までは届きません。放置していると長い耳が地面に擦り付けられ、耳に傷ができてしまうので飼い主さんが耳掃除をしてあげてください。
また、垂れ耳のロップイヤーは耳の中に熱がこもり、湿気がたまりやすいので、耳掃除のときは耳を持ち上げ覗き込んで異常がないかチェックすることも忘れず行います。
耳掃除に必要な物
耳掃除にはペット用綿棒(300円~)、ベビーオイル(500円~)、 脱脂綿(200円~)、ペット用乳液(500円~)があると便利です。
耳掃除は耳の奥まで掃除するのではなく耳の外側だけで大丈夫ですよ。耳垢が見えている、痒そうにしているときは動物病院に相談してくださいね。
耳掃除の方法
①垂れ耳を持ち上げる
ライトなどを使って外耳に耳垢が付いていないかチェックします。
②汚れや耳垢があるなら
ペット用綿棒や、脱脂綿、ガーゼなどにベビーオイル又はペット用乳液を数滴垂らし、外耳を優しく拭き取ります。
注意点
耳は敏感で傷つきやすい部分なので、無理やり耳垢を取らないでください。少し引っ張るだけでもかなりの負担になりストレスで体調を壊す子もいます。
耳掃除を怠ることで起こり得る病気は?
外耳炎
外耳炎は、鼓膜より外の外耳に炎症が起こる病気で、耳の中に細菌が入り繁殖することにより発症します。
耳掃除で強く力を入れたり、異物や耳垢を奥へ押し込んだときも起こります。耳に異常を見つけたら速やかに動物病院で獣医さんに診てもらうようにしてください。
耳ダニ症
耳にダニが寄生する病気で、気付かずに放置しておくとダニが繁殖し、耳垢が増えることで耳をかきむしるなどの外傷を負ってしまいます。
他にも爪ダニと呼ばれる被毛ダニがおり、頭から背中にかけて寄生します。
ロップイヤーのグルーミングはどうすればいい?

そもそも定期的なブラッシングは必要?
毛づくろいで毛を飲み込むと吐き出せないので、毛を飲み込ませないためにも定期的なブラッシングは必要です。
最低でも週に一度で頻度で、毛の生え変わる時期はできれば毎日行ってください。ブラッシングは血行を良くし皮膚を丈夫にするともいわれています。またブラッシングはロップイヤーとのスキンシップの場にもなるので、コミュニケーションをとれるメリットもあります。
グルーミングに必要なグッズ
うさぎ用またはペット用ブラシ(500~1,000円)、うさぎ用のグルーミング剤(500~1,000円)、吸毛機(1,000~1500円)があると便利です。
グルーミングの方法
①タオルなどで体を包んであげて落ち着かせます。(顔を隠すと落ち着きやすくなります)
②膝の上で抱っこして、やさしくブラシをかけます。
③額→ほっぺた→後頭部→背中→脇腹→お尻周りの順番にブラッシングします(順番は好きな順番でも構いません)
④毛が固まっていたり、絡まっていたりする箇所は慎重に優しく解くようにブラッシングします。
⑤ブラッシングが終わったら、グルーミング剤を手でこすり合わせるように温め毛に馴染ませます。
グルーミングの注意点
換毛期はお腹に毛が溜まらないよう毎日数回ブラッシングが必要になりますが、中には嫌がる子もいます。どうしても自宅でできないときは、ペットショップや動物病院で1000円程でお願いできるので頼ってみるのも手ですね。
垂れ耳と丸っこい体つきが可愛いロップイヤー

いろいろな種類のロップイヤーや飼い方ついてご紹介しました。一見静かな印象のロップイヤーですが、遊び好きで賢い面もあって家にいたら楽しそうですよね。
ふわふわとした丸みを帯びた体つきも可愛いので、気になった方はぜひペットショップや専門店をのぞいてみてください。