タランチュラまとめ!性格や毒性は?飼育できる種類や方法も紹介!

犬や猫も可愛いけれど、何だか物足りない!そんな一味違う特別なペットを探している方におすすめなのが、タランチュラ。巨大で恐ろしい毒蜘蛛というイメージが先行しがちですが、さほど強い毒は持っていません。

特別な申請や許可もなく飼育可能で、その独特の美しさから観賞用ペットとして楽しんでいる方が多いですよ。

この記事ではタランチュラの生態や、飼い方からおすすめの種類をまとめました。

 

タランチュラってどんな蜘蛛なの?

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タランチュラとは

  • オオツチグモの俗称
  • 約900種
  • 世界の温暖な地域に分布

タランチュラとは、オオツチグモ科に属するクモの俗称です。世界中には、約900種ものタランチュラが存在します。

熱帯アジア、熱帯アフリカ、北アメリカ南西部から南アメリカ、オーストラリア、地中海地方、ニューギニア島など、世界の温暖な地域でみられます。

 

タランチュラの分類は?

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タランチュラの分類

  • バードイーター
  • バブーン
  • アースタイガー
  • ツリースパイダー

タランチュラは、主な生息地や生活様式で4つのタイプに分類されています。

以下の項目では分類ごとにタランチュラを詳しく紹介します。

 

バードイーター

主な生息地 南北アメリカ
生活様式 主に地表に棲む
代表的な種類 ローズヘアー、メキシカンレッドニー、
ゴライアスバードイーター

南北アメリカに生息するタランチュラの総称で最も人気がある種類です。たくさん糸をはいたり地中に潜ったりしないので、観賞向きともいえます。

バードイーターを直訳すると「鳥食い」ですが、実際に鳥を捕食することは殆どありません。地表を徘徊しながら獲物を仕留めるタイプのクモです。

ローズヘアーやメキシカンレッドニーは、性格も温厚なので初心者向けですが、危険を感じると腹部にある毒性の「刺激毛」を飛ばすことがあるので、むやみに触らないよう注意してください。

 

バブーン

主な生息地 アフリカ大陸
生活様式 主に地中に棲む
代表的な種類 ソコトラアイランドブルー、キングバブーン、
ウサンバラオレンジバブーン

アフリカ大陸に生息するタランチュラの総称です。バブーン(baboon)は英語でヒヒという意味があります。

地中に棲むタイプが多く、地中に掘った穴の中で獲物を待ち構え近くに来た餌を捕らえて食べます。

体を起こしての威嚇行為を行うなど気性が荒く攻撃的なこと、動きが俊敏で脱走の危険性も高いことから飼育には十分な経験と注意力が求められます。初心者向きではありません。

 

アースタイガー

主な生息地 アジア
生活様式 地中、樹上など種類による
代表的な種類 コバルトブルー、マレーシアアースタイガー、
シンガポールブルー

アジアに生息するタランチュラの総称です。

生活様式は様々で、バブーンのように地中に棲む種類や樹上で獲物を追いかけ回したりする種類などがいます。気性はやや荒いものが多いので初心者向きではありません。

 

ツリースパイダー

主な生息地 アジアや南米
生活様式 主に樹上に棲む
代表的な種類 グーティサファイアオーナメンタル、アンティルピンクトゥー

アジアや南米に生息しているタランチュラの総称です。大きく分けてアジアに生息しているオーナメンタルと、南米に生息しているピンクトゥーの2種類が存在します。

ツリースパイダーの多くは樹上で生活しているので、餌は巣で待つのではなく素早い動きで追いかけ牙を使って捕獲します。

タランチュラの中では長い脚と美しい色彩で人気がありますが、性格は凶暴、動きが素早く強い毒性をもつ種類が多いので初心者向きではありません。

 

タランチュラの性格は?

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タランチュラの性格

  • 本来は温厚
  • 自分からは攻撃しない

「猛毒を持っていて攻撃的」という危険なイメージがありますが、本来は温厚な性格です。相手から攻撃されない限り、タランチュラから攻撃をするようなことはありません。

しかしいくら温厚といっても、むやみにつついたりして怒らせると噛まれる可能性もありますので、十分注意してください。

 

タランチュラの毒性は?

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タランチュラの毒性

  • 実はかなり弱い
  • 強毒をもつものはごく少数

一般的には極めて弱毒で、人間が死に至るほどの危険はありません。

腹部にある刺激毛に触れたり牙で噛まれると皮膚は腫れますが数日で治ることがほとんどです。ただ、アレルギー反応によるアナフィラキシー・ショックで死亡した例もあるので、無防備に触るのは避けたほうが良いですね。

ちなみに最強の毒を持つクモは、タランチュラではありません。「クロドクシボグモ」というブラジルのクモです。

 

タランチュラって飼育できるの?

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タランチュラは飼育できる?

  • 特別な申請や許可は不要
  • 観賞用ペットとして人気

特別な申請や許可もなく飼育可能で、主に爬虫類専門のペットショップなどで入手できます。

独特の美しさから観賞用ペットとして楽しんでいる方が増えていますが、購入者が18歳未満の場合は購入の際に保護者の同伴やサインが必要になる場合があるので注意してください。

適度な温度と湿度維持に気をつけながらタランチュラライフを楽しんでくださいね。

 

タランチュラの販売価格は?

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タランチュラの価格

  • 1,000円~
  • 希少種は高価

種類によっては1,000円くらいから購入できます。

繁殖力が高く幼体が手に入りやすい種は安価ですが、タランチュラはペットとしてだけでなくコレクション性も高いため、希少種になると数十万円という高値がつく場合もあります。

 

タランチュラの寿命は?

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タランチュラの平均寿命

  • オスは3年
  • メスは10~20年

タランチュラはオスよりメスの方が長生きします。オスの平均寿命は3年ほどですが、メスは10~20年といわれていますよ。

比較的長生きとはいえ、飼い主の些細なミスから短命になってしまうこともあります。ケージを掃除しようと外に出した際に、タランチュラを床に落としてしまい死なせてしまったというケースも少なくないです。また、種類によって好む湿度や温度が違うことも知っておかなければなりません。

ちょっとしたミスで死に至ることもある繊細な生き物である認識のもと、飼育を楽しんでくださいね。

 

飼育できるタランチュラの種類は?

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飼育可能なタランチュラ

  • メキシカン・レッドニー
  • チリアンコモン
  • ブラジリアンブラック
  • サンタレムピンクヘアード
  • グーティーサファイアオーナメンタル
  • ルブロンオオツチグモ
  • ウサンバラオレンジバブーン
  • マレーシアン・アースタイガー

メキシカン・レッドニー

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英名 Brachypelma smithi
分布 メキシコを中心とした温暖な地域
大きさ 平均5~8㎝程(レッグスパン12~20㎝)
寿命 メス10年程、オス2~3年程
値段 3,000~10,000円程

スミシーの愛称を持つタランチュラの代表格です。成長すると脚の関節部分が朱色の毛で覆われ黒と赤の美しい色合いになること、メスが長生きであることから人気があります。

性格も温厚、比較的毒性も弱いことから初心者の方にもおすすめですが、危険を感じると後脚で腹部をこすり刺激毛を飛ばすこともあるので注意してください。

 

チリアンコモン

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英名 Grammostola rosea Chilean Rose Tarantula
分布 チリ、アルゼンチン、ボリビア
大きさ 平均6cm程(レッグスパン10㎝)
寿命 メス10~20年程、オス2年程
値段 1,000~5,000円程

通称ローズヘアータランチュラとも呼ばれる種類で、赤みを帯びた頭部の毛が特徴的です。より赤みが強い「レッドモルフ」という品種もいます。

比較的安価で丈夫、大人しく世話も容易なことから「タランチュラの入門種」として知られています。人間が何もしない限り攻撃してくることもないので、手に乗せることもできますよ。

 

ブラジリアンブラック

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英名 Grammostola pulchra
分布 ブラジル、パラグアイ
大きさ 平均6~8㎝程(レッグスパン16~18㎝)
寿命 10年程
値段 8,000~30,000円程

全身を覆うベルベットのような漆黒の毛とこんもり丸い大きなお尻、短めの脚が特徴的なタランチュラです。ふわふわとして、かわいらしいことから人気があります。

性格はかなり大人しく、多少の乾燥でも耐えることができるので初心者でも飼いやすい種類です。

 

サンタレムピンクヘアード

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英名 Acanthoscurria geniculata
分布 ブラジルのアマゾン流域、サンタレム地方の熱帯雨林
大きさ 平均8cm程(レッグスパン18~20cm)
値段 8,500円~

淡いピンクと黒のコントラストが美しい、大型種のタランチュラです。ケージを糸だらけにすることもないので、鑑賞にも向いていますよ。

性格は大人しく成長速度も早いので初心者でも飼育を楽しめる種類ですが、しつこくすると刺激毛を飛ばしてくることがあります。素早いのでケージを開けた際の脱走にも注意してくださいね。

温度28度前後のやや湿った環境を好みます。

 

グーティーサファイアオーナメンタル

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英名 Poecilotheria metallica
分布 インド中南部のアーンドラ・プラーデシュ州グーティ
大きさ 平均8㎝程(レッグスパン20cm以上)
寿命 メス 10年以上、オス3年程
値段 10,000~40,000円程

通称メタリカ。その美しさからツリースパイダーの中でも非常に人気がありますが、気性が荒く俊敏で毒性も強いです。タランチュラの中でも特に扱いが難しい種類なので上級者向けです。

写真のように美しい青色は脱皮してしばらくの間だけなので、その発色を堪能できるのは飼育者だけの特権といえます。ごく短期間の鮮烈な美しさを直接目にできる喜びに比べたら、飼育の苦労など吹き飛びますね。

 

ルブロンオオツチグモ

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英名 Theraphosa blondi
分布 ベネズエラ、南米、ブラジル、ガイアナ
大きさ 平均10~15㎝程(レッグスパン25~30㎝)
寿命 メス15~20年程、オス3~6年程
値段 15,000~25,000円程

ギネスブック公認の世界最大のクモで、ゴライアスバードイーターとも呼ばれています。

最大クラスの個体では足を広げると最長30㎝、大人の両手の平よりも大きいサイズになります。世界で唯一足音がするクモと考えられており、硬化した足の爪により歩くとカタカタといったクリック音を発しますよ。牙の毒はさほど強くありませんが、危険を感じた時に蹴飛ばす腹部の刺激毛は目に入ると何日も痒みが続くので注意が必要です。

体の大きさのわりにデリケートで、湿度過多や乾燥、低温に非常に弱く簡単に死んでしまうこともあります。管理面の難しさ、気性の荒さから初心者向きとはいえません。

 

ウサンバラオレンジバブーン

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英名 Pterinochilus murinus
分布 中央、東、南アフリカ、アンゴラ
大きさ 平均4~6cm程(レッグスパン12~15cm)
値段 5,000~14,000円程

明るいオレンジ色と背中の模様が美しい、アフリカを代表するタランチュラです。糸をたくさん張る種類なので、巣の壮大な造形美を楽しめます。

安価、美しさ、乾燥や絶食にも強いことから「バブーンの入門種」として人気がありますが、非常に気性が荒く攻撃的でごくわずかな刺激にも過敏に反応し威嚇行動をとります。動きが機敏で毒性も比較的強いため、初めて飼うタランチュラには向いていません。

 

マレーシアン・アースタイガー

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英名 Cyriopagopus schioedtei
分布 マレーシア半島
大きさ 平均メス7~8㎝程(レッグスパン20㎝)
寿命 10年程
値段 20,000円~

「マレーシアの至宝」といわれる、大きくて美しいタランチュラです。

最大の特徴は名前の由来でもある虎柄の腹部で、頭胸部は緑色。脚は薄紫から緑に輝いて見えることもあり、光の加減や角度により色が複雑に違って見えます。高温多湿の環境を好み、糸を出してケージ内に繭のような巣をつくります。

極めて荒い性格で攻撃性が高く動きも速いので、アースタイガーの中でも扱いが難しい種類です。中級者~上級者向けです。

 

タランチュラの飼育に必要なものは?

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タランチュラの飼育に必要なもの

  • 飼育容器
  • 床材
  • 水入れ
  • シェルター
  • パネルヒーター

飼育容器

タランチュラの飼育容器に求められる第一条件は、絶対に脱走されないということです。

プラケースで問題ありませんが、ツメがしっかりひっかかるものを選ぶようにしてください。大きさはタランチュラの体の3倍以上あるものがおすすめです。

 

床材

腐葉土と、細かいヤシガラをよく混ぜたものが適しています。腐葉土を購入する際は、農薬などが入っていないものを選んでください。

 

水入れ

タランチュラはたくさん水を飲みます。

バードイーター、バブーン、アースタイガーの飼育を考えているのであれば、水入れは必ず設置してください。

容器は浅いもので構いませんが、ひっくり返りにくい爬虫類用の餌皿など皿自体に重さがあるものが適しています。ツリースパイダーは、ケースの側面に霧吹きをし水を飲ませるので、水入れは不要です。

 

シェルター

地表棲であるバードイーターの飼育を考えているのであれば、コルクバークや割れた植木鉢でシェルターを設置するようにしてください。

シェルターは無くても飼育は可能ですが、野生では石や木の陰に隠れているので本来の生活環境により近づけてあげることができます。タランチュラは隠れる際に自分の体がぴったり収まる窮屈な状態を好むので、個体によってちょうどよい大きさのものを選んであげてくださいね。

 

パネルヒーター

タランチュラの好む温度は25~28℃なので、冬場はヒーターでの加温が必要です。

 

参考本:タランチュラの世界

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タランチュラの生態や飼育の仕方について解説したカラー写真入り図鑑です。

ほとんど知られていない生態や、ペットとしての魅力を解説。性質の荒さ・毒性の強さなどから種類ごとの飼育難易度もわかります。

すぐに飼うまではいかないけれど「タランチュラについてもっと知りたい」という方におすすめです。

タイトル タランチュラの世界
写真・解説 冨永明
単行本 103ページ
価格 4,320円(2018年11月22日現在)

 

タランチュラの餌は?

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タランチュラの主な餌

  • 昆虫
  • 小型の爬虫類

野生下では「小型の爬虫類」や「鳥の雛」「カエル」「子ネズミ」などを好んで捕食する種類もいますが、飼育下では「コオロギ」「ゴキブリ」「ミルワーム」などの餌用の虫を与えます。

餌の大きさは、タランチュラの体の三分の一程度を目安に成長に合わせて調整してください。週2回程度、食べ残しがない程度に与えるのがおすすめです。

 

世界一の美しさを競うコンテストも

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レッド、オレンジ、ブルー、パープルなど、色彩の美しさと豊富さも魅力のひとつといえます。海外では、英国タランチュラ協会主催で「世界一美しいタランチュラ」を選ぶコンテストも行われているほどです。

毒をもつ生物特有の妖しい美しさに魅せられ、多数のケースを部屋に積み上げて、生きた宝石として飼育観賞を楽しむコレクターもいます。

知れば知るほど奥が深いタランチュラ。生態をきちんと理解すれば、かけがえのないペットになってくれますよ。