ドッグショーで活躍する犬の調教師、ハンドラーとは?

犬の品評会ともいえるドッグショー。ドッグショーで犬を誘導し、良さを最大限に引き出すのがハンドラーの仕事です。ドッグトレーニングのスペシャリストともいえる調教師、ハンドラーをご紹介します。

 

ドッグショーとは?

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ドッグショーは純粋犬種の品評会です。全国各地で開かれていて、一般の人達にも公開されています。純血種の犬が出場し、理想とされる「スタンダード(犬種標準)」にどれだけ近いかを競い合います。体のサイズや体重、毛色、毛質、歯や骨格はもちろん、体のバランス、健康状態や精神状態などを審査します。

ドッグショーはスタンダードとして定められている純血種の理想像に近い犬を作出し、子を作ることで純血種を守り、後世に残していくことを目的として開催されています。日本ではJKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)が開催しているドッグショーが有名です。ドッグショーはアメリカやヨーロッパなど世界各地でも同様の目的をもって開催されています。

 

ハンドラーとはどんな人?資格はある?

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ハンドラーは、犬を連れた競技者、犬に対して何かを指示する人のことを総称して呼びます。警察犬や麻薬犬、空港などで肉や果物を探し出す探知犬などを連れて仕事をしている人達もハンドラーです。今回は犬の品評会であるドッグショーで活躍するハンドラーについてご説明します。

ドッグショーでの評価は個体審査(見た目やコンディション)と歩様審査(コースを歩きまわる)によってされます。
ドッグショーでのハンドラーの仕事は、ショーに出ている犬の良さを最大限に引き出し、審査員にアピールすることです。ショーに出場した犬が持つ長所を最大限に活かすと同時に、短所も把握し修正しながら高得点を取れるようにバランスを取ります。ドッグショーで犬のポテンシャルを最大限に引き出すハンドラーには、深い知識・技術・経験が要求されるので、専門の資格が存在します。ただ、資格がなくてもドッグショーにハンドラーとして出場し、犬のハンドリングを行うことは可能です。

 

ハンドラーの資格とは?取得方法は?

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一般的なハンドラーの資格はJKC公認のハンドラー資格です。公認ハンドラーになるためには、まずJKC会員になる必要があります。1年以上会員としてJKCに所属し、実技試験をクリアする必要があります。

JKCの公認ハンドラー資格には、熟達度に応じてC級、B級、A級、教士、師範の5段階のランクが設けられています。まずC級資格を取得した後、定期的に研修を受けて技術を維持すると同時に、実際に犬をハンドリングして技術を磨き経験を積むことで上級資格を取得することができますよ。それぞれの資格取得に必要な条件は以下のとおりです。

C級

満18歳以上。モデル犬1頭による実技試験をクリア

B級

C級を取得後、モデル犬2頭による実技試験をクリア

A級

B級を取得後、モデル犬3頭による実技試験、学科試験をクリア

教士

満30歳以上、A級を取得後5年以上経過、モデル犬3頭による実技試験、学科試験をクリア

師範

満55歳以上、教士経験10年以上で、指導的立場に従事し、中央ハンドリング協会の推薦と理事会の承認が必要

 

ハンドラーになるための勉強は?

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ハンドラーの仕事からもわかる通り、ハンドラーには様々な知識が要求されると同時に、高いハンドリング技術が要求されます。

ハンドラーに必要な知識

・純血種のスタンダード
・犬のしつけ
・犬の訓練方法
・犬の病気、健康管理
・犬の繁殖
・ペットビジネス

知識はもちろんですが、その知識を実際に犬に活かす技術力も必要です。ハンドラーとして信頼を得ていくには、知識・技術両方を取得しつつ、経験を積んでいく必要があります。経験を増やしてハンドリングする犬それぞれの特徴を早く把握し、長所を伸ばしていく力も要求されます。

独学では難しいので、訓練学校などに通って勉強する人が多いです。初心者の場合、週に1回の通学、約2年間かけて勉強してC級ハンドラー資格取得を目指すようなカリキュラムが一般的です。

 

ハンドラーは普段、どんな仕事をしている?

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ハンドラーは犬のしつけ、訓練のプロフェッショナルです。ドッグショーに出る以外は、ドッグショーに愛犬を出したいという飼い主から犬を預かって訓練したり、しつけ教室を開いたり、訓練学校で犬の訓練をしていたり、様々です。
ハンドラーの中には、ブリーダーをしていたり、ブリーダーと協力して仕事をしている人もいます。ハンドラーがドッグショーに犬を出場させてチャンピオンにし、ブリーダーがチャンピオンの子を育て、販売するといったパートナーシップをとっているのです。チャンピオンに輝く犬は純血種として理想的な犬ですから、その子犬もチャンピオンになれる可能性が高い犬だといえますね。

ハンドラーの中には日本だけでなく海外のドッグショーに参加したり、海外のハンドラーやブリーダーと繋がりを持っていたりする人も居て、高い語学力を持っている場合もあります。ハンドラーであると同時に訓練士であったり、ブリーダーであったり、複数の分野で活躍している人も多いですよ。

 

「ハンドラーの仕事を知りたい」「ハンドラーになりたい」など、ハンドラーに興味を持っている場合は、ドッグショーを実際に見るのが一番良い勉強法です。興味のある方はまずドッグショーに足を運んでみてください。開催スケジュールはJKCの公式ホームページに掲載されていますよ。