ナマケモノまとめ!歴史や特徴は?どんな生活をしているの?飼育方法も合わせて紹介!

ナマケモノはじっとしてほとんど動くことがありません。あんな生活を送りたい、なんて思う方もいるのではないでしょうか。しかし、ナマケモノはただじっとして動かないだけの「怠け者」ではありません。

この記事では、ナマケモノの生活や飼育方法などをまとめました。

 

ナマケモノってどんな動物?

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ナマケモノは、哺乳綱異節上目有毛目ナマケモノ亜目 (Folivora) の生き物です。名前の由来は「怠け者」から来ています。南アメリカや中央アメリカの熱帯雨林に生息している哺乳類です。

生涯のほとんどを樹木上で生活し、食事から出産までのほぼすべての動作をぶら下がって行います。

 

ナマケモノの歴史は?

ナマケモノ 素材

ナマケモノの先祖は「メガテリウム」という生き物だったと考えられています。メガテリウムは新生代第四紀更新世(約1万年前)ごろ、南アメリカ大陸に生息していたオオナマケモノです。成長すると全長6~8mに、体重は3tにもなる巨体です。

巨体であるため、樹木上ではなく地上で生活を行っていました。四肢には長いカギ爪があり、2本足で立ち上がり木の枝を手繰り寄せ、長い舌を使って葉を食べていたと考えられています。

ゆっくりとした動作のナマケモノですが、その歴史は長く大昔から存在している生き物です。

 

ナマケモノの種類は?

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ナマケモノは「ミユビナマケモノ科」と「フタユビナマケモノ科」の2科に分類され、5種類が生息しています。

 

フタユビナマケモノ

体長は60~64cmで、コロンビアからペルーの森林地帯に生息しています。前脚の指が2本、後脚の指が3本で、尾は全くないか痕跡がわずかにある程度です。

ミユビナマケモノに比べ、気性が荒く動きが素早いことが特徴です。フタユビナマケモノ科には、ホフマンナマケモノとフタユビナマケモノの2種類が存在します。

 

ミユビナマケモノ

体長は50~60cm、中央・南アメリカの森林地帯に生息しています。前脚、後脚ともに3本の指を持ち、尾は短いながらも生えています。首を270度回転させることができ、移動しなくても周りの葉を食べることができます。

ミユビナマケモノ科には、ノドチャミユビナマケモノ、ノドジロミユビナマケモノ、タテガミナマケモノの3種類が存在します。

 

ナマケモノの生活は?

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ナマケモノは食事や睡眠はもちろん、交尾や出産まで樹木の上で行います。唯一地上に降りるのは、排泄時です。ナマケモノの排泄は1週間から10日に1回で、その際にのみ地上に降ります。

地上に降りるといっても木の根元までで、排泄物を土に埋めるとまたすぐに樹木に登ります。

 

ナマケモノの大きさや特徴は?

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体長 60~70cm
体重 4~9kg

ナマケモノは木の枝にぶら下がり、1日のうち20時間も眠って過ごします。ナマケモノの移動速度は時速16mです。この速度は、1分間に27cmしか移動しないことになります。非常にゆっくりとした行動をとることが伺えます。

長い前脚と短い後脚が特徴で、指はカギ爪になっています。これによりしっかりと樹木にぶら下がることができます。

 

ナマケモノって何を食べているの?

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ナマケモノは食事量が非常に少ないため、昔は風から栄養を摂取しているとすらいわれてきました。実際には1日に8gほどの植物を食べて生活しています。

これほど少量の食事で生きていけるのには、代謝に理由があります。ナマケモノは外気に合わせて体温を変えることのできる変温動物です。さらにゆっくりとした行動で代謝を常に低く保ち、少量の食事で生き抜くことを可能にしています。

 

蛾との共生関係

ナマケモノと「蛾」は切っても切れない間柄にあります。まず、ナマケモノの排泄物に蛾が卵を産み付けます。成長し成虫になった蛾は、ナマケモノに寄生します。

蛾から発せられる窒素や排泄物により、ナマケモノの体表にはコケが生えます。そのコケをナマケモノは食べて生活します。この行為を循環することで、ナマケモノと蛾はお互いに共存しています。

 

ナマケモノは泳ぎが上手?

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ナマケモノにお風呂は必要ありませんが、実は泳ぎが得意だといわれています。移動の際に自ら水に飛び込み、泳いで移動を行うこともあります。自宅のお風呂で泳がせてみると、意外な発見があるかもしれません。しかし、無理強いは禁物です。

 

ナマケモノの寿命は?

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ナマケモノの寿命は、飼育下では30年ほどと非常に長寿な生き物です。しかし、野生下ではなかなかそこまで生きることはできません。それはなぜなのか、ここではナマケモノならではの死の理由について紹介します。

 

ナマケモノならではの死に方1. 「天敵に捕まる」

ナマケモノは樹木の上で生活しているため、地上から狙われることはほぼありません。上空から獲物を狙うタカやワシなどが主な天敵です。じっとしていることで木の枝と擬態していますが、見つかってしまうと逃げ切ることはほぼ困難です。

 

ナマケモノならではの死に方2. 「餓死」

ナマケモノは「餓死」してしまうことがあります。一般的に餓死というと食べることができないことを指しますが、ナマケモノの場合は異なります。ナマケモノは食べたものを胃の中で1ヵ月ほどかけて消化します。しかし、中にはなかなか消化することができず、餓死してしまうことがあるのです。

 

ナマケモノならではの死に方3.「運動のし過ぎ」

ナマケモノはそのゆっくりとした行動からわかる通り、代謝が非常に低い生き物です。そのため、運動をし過ぎると消費エネルギーが追い付かずに死んでしまうことがあります。ナマケモノのゆっくりとした行動は、代謝を低く保つために欠かせない動きです。

 

ナマケモノを飼いたい!値段は?

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生態価格 60~100万円

ナマケモノは希少動物であるため、価格も高額になります。通常のペットショップで購入することは困難で、エキゾチックアニマルを取り扱っているペットショップや専門店から購入することが可能です。

 

ナマケモノには何を与えればいいの?

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バナナ、リンゴ、小松菜、キャベツ、キュウリ、ニンジン

ナマケモノには専用フードがないため、果物や野菜を与えます。1日に食べる量は約10gと少量です。天井や止まり木からつるしておくと食べてくれます。

 

ナマケモノの飼育に必要な環境は?

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ナマケモノの飼育には大型のケージを用意するか、1部屋全体をナマケモノの生活拠点にすることが理想です。樹木の上で生活をしているため、部屋中に止まり木を設置する必要があります。

ナマケモノを飼育するうえで気を付けたいのが、温度管理です。熱帯雨林で生活しているナマケモノは高温多湿を好みます。適正温度は30度、湿度は70%を常に保つ必要があります。温度や湿度が低すぎると、代謝の低いナマケモノはすぐに弱ってしまいます。

エアコンや加湿器を1年中必要とするため、電気代などの光熱費は高くなります。また、高温多湿ですので部屋にカビや雑菌が生えないよう、掃除をこまめに行う必要もあります。

 

ナマケモノはペットとしては難しい生き物

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ナマケモノはペットとして飼うこと自体は可能ですが、犬や猫のようにペットとして適した生き物とはいえません。その1つが温度環境です。ナマケモノを飼育するためには、部屋を常に高温多湿に保たなければならないため、電気代やカビ対策など手間暇がかかります。高温多湿は私たち人間にとって、暮らしやすい環境とはいえません。

食費や排泄物の掃除などは簡単に済みますが、飼育スペースも広く必要なため、一般家庭で飼育するのは簡単ではありません。それでもお迎えしたいと思う方は、費用や手間暇がかかることを事前に把握しておく必要がありますよ。