愛犬と触れ合っている時など、犬の皮膚にしこりを感じたことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
老犬に多く見られる多少のイボであれば問題ないですが、命に関わる病気が隠れていることもあります。おかしいなと思ったら、すぐに獣医さんに相談することをおすすめします。
この記事では、犬のしこりの症状と原因、考えられる病気と対処法についてまとめました。
目次
犬のしこり、どんな症状?
しこりは、イボのように腫れ物ができている状態です。
目立った異変が現れない場合もありますが、筋肉の間に発症した場合は歩き方が不自然になることがあります。
脂肪腫などの病気が原因の場合、しこりは弾力性がある楕円形をしていることから「軟部腫瘍」といわれることもありますよ。
犬のしこり、原因は?
乳腺腫瘍
皮膚の腫瘍
イボ
しこりができた場合、乳腺腫瘍、皮膚の腫瘍、イボなどが原因と考えられます。
イボや脂肪腫は老化の影響で発症することが多いですが、しこりは腫瘍なのでがんなど命に関わる病気の可能性もあります。早期発見・治療が大切です。
原因1:乳腺腫瘍
しこりの大きさや硬さは様々で、胸・脇の下・下腹部・内股にしこりができます。
大きさが1cm以下で小さく硬ければ良性の可能性が高いですが、大きくなると悪性や転移の可能性が高くなります。
犬では50%の確率で悪性の可能性があります。
原因2:皮膚の腫瘍(がん)
皮膚がんは、乳腺腫瘍に次いでよく見られる腫瘍です。
皮膚がんの種類は様々で、肥満脂肪腫や線がんのほか、扁平上皮がん、肛門周囲腺腫、脂肪腫、腺腫、上皮腫などがあります。
皮膚にコリコリとしたしこりが出来るのが特徴で、しこりに触ってもいたがらない場合は腫瘍の可能性があります。表面がただれたり、コブ状になる場合もありますよ。
原因3:イボ
イボはウイルス感染が原因と考えられており、免疫力の低い子犬や老犬に多くみられます。
老犬にイボが1~2程度あるのは普通のことなので、大きくならない限りは問題ありません。自然治癒するイボも多いですよ。
犬のしこり、発症しやすい犬種はいる?
しこりを発症しやすい特定の犬種はいませんが、脂肪腫は全犬種の老犬によくみられます。
表皮嚢胞はシュナウザーやシーズーなどの皮脂の分泌が多い犬種、悪性リンパ腫はゴールデンレトリバーなどに多いですね。乳腺腫瘍は、避妊前の6~7歳のメスが発症しやすいですよ。
良性腫瘍と悪性腫瘍の違い
良性腫瘍と悪性腫瘍には違いがあります。
良性腫瘍では腫瘍自体の発育が遅く、腫瘍の境界も明瞭です。基本的に転移せず、再発もしません。
悪性腫瘍は腫瘍の発育が早く、境界が不明瞭です。転移することがあり、再発することも多いです。
良性腫瘍では、〇〇腫、〇〇腺腫と呼ばれ、悪性腫瘍では、〇〇癌や〇〇癌腫、〇〇肉腫と呼ばれます。肉腫は骨肉腫が有名ですね。
犬のしこり、発症してしまった場合の対処は?
犬のしこりは、種類によって対処法が変わります。
乳腺腫瘍
胸に弾力性のある楕円形の腫れがある場合は、乳腺腫瘍の可能性があります。
外科手術や放射線治療、抗癌剤治療、免疫療法などで治療します。
皮膚の腫瘍(がん)
悪性腫瘍は進行が早く大きくなると命の危険も考えられるため、腫瘍が小さいうちにレーザーで切除することが望ましいです。
がんは早期発見・治療が必須なため、少しでもおかしいと思ったら早急に動物病院で検査し、必要に応じた治療を受けてください。
イボ
イボの場合、イボの色や大きさを見ることで動物病院に連れていくべきかの判断が可能です。
白や黄色、ピンク、赤色をしている場合は、放置しても自然に治る場合が多いです。また、直径が1cm未満のイボは、悪性腫瘍のリスクが極めて低いので、大きくならない限りは放置していても問題ありません。
健康や美容に役立ち、犬が舐めても大丈夫な「ヒマシ油」を1日2回ほどイボに塗ってあげるといいですよ。ビタミンEを摂取すると免疫力が高まるので治りやすいです。太陽の光もビタミンEが含まれているので、日中のお散歩もおすすめです。
一方、黒や紫、もしくは赤黒い色をしている場合は、悪性腫瘍のがんである可能性が高いです。
悪性腫瘍は進行性のため、だんだんイボが大きくなり痒みや痛みを伴うこともあります。早期発見・治療が救命に繋がるので、イボが小さくても動物病院で診てもらうことをおすすめします。
犬のしこり、どんな検査が必要?
経験値と針生検
臨床診察
病理組織検査
検査1:経験値と針生検
獣医さんの経験値と針生検から診断をします。
針生検はしこりの一部を注射器で吸い取り顕微鏡で調べる方法で、その場ですぐに結果がわかります。
検査2:臨床診察
しこりの大きさや形、色、固さから総合的に判断します。
イボなどの場合、「問題ない」と診断を受けることもありますが、悪化するリスクはあるので定期的に診察を欠かさないことが大切です。
検査3:病理組織検査
病気の確定診断は、しこりを切り取って病理組織検査に出す必要があります。しかし、すぐに結果がわかるわけではないのでこの検査は行われないこともあります。
犬のしこり、対策するには?
普段の運動、生活環境に気をつけることや、肥満にならないよう注意することで対策できる犬のしこりも多いです。乳腺腫瘍は未避妊の犬がなりやすいので、発情前に避妊手術を行うことでリスクを下げることができます。
愛犬の健康を守ってあげられるのは飼い主さん!
家族の一員である愛犬には、いつまでも元気で長生きしてほしいですよね。
しこりがイボなのか腫瘍なのかの判断は難しいため、安易な判断はせず必ず動物病院で診察をうけるようにしてくださいね。