ヘルニアとは、臓器や骨が本来あるべき位置からズレた状態のことをいい、椎間板ヘルニアは特に胸から腰あたりに起こりやすく「椎間板」とよばれる軟骨の一部が突出して起こる症状です。
ミニチュアダックスフンドやフレンチブルドッグなど軟骨異栄養種と呼ばれる犬種に多い症状です。
この記事では、犬の椎間板ヘルニアの症状や治療法、手術費用、対策についてまとめました。
目次
犬の椎間板ヘルニア、手術費用は?
椎間板ヘルニアの手術はかなり高度な技術を使います。重症度によって難易度が大きく変わるため、手術費用には個体差が大きく出ます。
動物病院によっても費用設定が違うので、詳しく知りたい方は近くの動物病院にお電話で確認いただくことをおすすめします。
また手術費用の他に、
・検査費用(CTスキャン、血液検査など)
・薬剤料(抗炎症剤、鎮痛剤など)
・入院料(必要な場合)
・コルセット代(必要な場合)
なども同時にかかることがあります。
犬の椎間板ヘルニアの症状、治療法は?
基本的に椎間板ヘルニアの症状が自然治癒する可能性は低いです。
椎間板ヘルニアの症状は5つのグレードにわけて治療法を検討します。
グレード1:痛みのみ
グレード2:ふらつき
グレード3:起立不能
グレード4:排尿困難
グレード5:痛覚消失
グレード1、2の軽度な状態であれば、まず投薬と温熱療法で痛みを緩和する治療をします。抗炎症作用や鎮痛作用のある薬で症状を抑えて痛みがおさまるのを待ちます。
グレード3以上で重症化している場合は、手術をして椎間板物質を取り除きます。ただ手術は体に負担がかかるので、愛犬の年齢や健康状態をふまえてかかりつけの先生と相談しながら進めてください。
犬の椎間板ヘルニア、かかりやすい犬種の特徴は?
軟骨異栄養種
ミニチュアダックスフンドは椎間板ヘルニアになりやすい犬種として知られていますが、これは「軟骨異栄養種」という犬種に分類されるからです。
軟骨異栄養種とは大体3歳ごろに軟骨が変性して固くなりやすい犬種のことで、ミニチュアダックスフンド、フレンチブルドッグ、ビーグル、シーズー、コーギーなどが当てはまります。
また肥満も椎間板ヘルニアを引き起こす大きな原因となります。これはつりばし上になっている腰辺りの骨に過度な体重がかかりすぎることが原因なので、犬種によらず発症します。
犬の椎間板ヘルニア、初期症状の特徴は?
抱っこを嫌がる元気がない
変な歩き方をする
椎間板ヘルニアを引き起こした愛犬の症状やよくある行動をまとめました。ポイントは普段と比べて違いがあるかなので、日々愛犬の普通の様子を観察しておくことがまず大切です。
初期症状1. 抱っこを嫌がる
体を触られたり動かしたりするだけで痛みを伴うので、抱っこを嫌がることがあります。
これは椎間板ヘルニアを発症した多くの犬にみられる症状なので、愛犬がこの素振りをみせたら発症しているケースが多いといえます。
初期症状2. 元気がない
動くと痛みがあるため、なるべく動かないようになることもあります。端からみると元気がないようにみえるため、風邪や他の症状を疑いたくもなる初期症状です。
初期症状3. 変な歩き方をする
痛みをかばって後ろ足を引きずったり爪をすったりして歩くことがあります。
腰をフラフラ揺らして歩くような変な歩き方をするようになったら、注意が必要です。
犬の椎間板ヘルニア、発症しないように対策はできる?
家庭でできる対策としては、「腰に負担をかけるような運動をさせない」「肥満にならない」の2つです。
ミニチュアダックスフンドは胴が長くて脚が短いので、全力疾走や何度もジャンプするなどの激しい動きは背骨に大きな負担がかかってしまいます。
また、肥満になっても腰に負担がかかってしまうため、バランスのとれた食事をすることも大切です。
椎間板ヘルニアはできるだけ早期に発見を!
背骨や脊髄を痛めてしまう椎間板ヘルニアは、重度の症状であるほど後遺症が残る危険性がある怖い病気です。
特に走り回ることが好きな性格の犬にとっては耐え難いほど辛い症状になり得ますので、日頃からのケアを心がけ、軽度なうちに動物病院を受診することをおすすめします。