アリスイの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

アリスイは、キツツキ科アリスイ属の鳥で、可愛い顔をしていますが、世にも奇妙な鳥です。

名前が似ている哺乳動物「アリクイ」と同様、長い舌を持ち、アリを食べます。「体の大きさに対して舌が最も長い鳥」としてギネス世界記録にもなっています。

ヒナや巣を守る際は、「鳥が最も恐れる敵」であるヘビのように首をくねくねさせて相手を追い払うこともありますよ。

この記事では、アリスイの特徴、生態や分布、鳴き声についてまとめました。

 

アリスイの特徴は?

アリスイ

大きさ

  • 17.5cm

外見の特徴

  • 10cmもある長い舌
  • 背面の複雑な斑紋

アリスイの全長は17~18cmでスズメと同じくらいの大きさですが、10cmもある長い舌を持っています。

背は灰色の羽毛に、赤茶色や黒茶色の複雑なまだら模様が入っており、ウロコのようにも見えます。頭から背にかけては黒茶色の太いラインがあります。頭の側面や肩には黒いまだら模様が入っていますよ。

のどから胸部までは、黄土色の羽毛に、こげ茶色の横じまがあります。尾羽には、黒茶色のしま模様が5本程入っていますよ。

 

アリスイの生態は?

アリスイ

生態

  • 奇妙に首を捻る者
  • 長い舌でアリを食べる

開けた森林、林縁、草原、湿地などに生息しており、樹上では木の枝に対して水平に止まります。警戒のために、頻繁に首を傾げて後ろを向く奇妙な行動ととることから、種小名は「首を捻る者」という意味を持っています。

日本での繁殖期は5~7月です。樹や地面に空いた穴、あるいはキツツキの古巣や人工的な巣箱を利用して、1回に6~10個の卵を産みます。卵は、ほとんどメスが温め、12~14日で孵化します。ヒナは生後18~25日で巣立ちを迎えますよ。

アリスイの巣は、コムクドリなど巣穴を掘れない鳥に狙われることがあります。敵に横取りされそうになると、首をヘビのようにクネクネさせて追い払いますよ。名前の通り主にアリを食べて生活しています。地表や朽ち木に止まって、長い舌を伸ばし、小さな穴の中にひそんでいる獲物を捕まえます。

 

アリスイの分布は?どこに生息している?

アリスイ

アリスイはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、イギリス、日本に分布しています。平地や低い山地の林、森林、湿地などに生息していますよ。餌場となる地面や地上近くの枝、岩の上などで見られることが多いです。

夏季になるとアフリカ大陸北部やユーラシア大陸で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸中部やインド、東南アジアへ南下し冬を越します。

夏になると、繁殖のため北海道や本州北部に飛来するので「夏鳥」という認識があります。しかし、一方で本州中部以西は、冬に越冬のため渡って来るので「冬鳥」です。

 

アリスイの鳴き声は?

アリスイ

アリスイは、大きな声で「クイクイクイクイ」とさえずります。この鳴き声は、モズの高鳴きに聞こえるともいわれています。

「さえずり」は、主にオスが求愛や縄張り主張の意味合いで鳴きますよ。

 

アリスイは「不吉の象徴」?

アリスイ

アリスイは、その奇妙な生態から「不吉の象徴」といわれています。また「地味だし、恐竜みたいで、可愛くない」と、撮りたがらない人もいるようですね。

しかし、これはアリスイが自然界を生き抜くために身につけた進化と技術であり、人間が勝手にネガティブな印象をつけているだけかもしれません。

アリスイのことをもっとよく知ると、「自然の神秘」を最も実感させてくれる魅力的な鳥類なのです。それによく見ると、つぶらな瞳がとても可愛らしいですよ。