ハチクマの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

ハチを好んで食べるハチクマは、タカ目タカ科ハチクマ属に分類される夏鳥です。 羽を広げた大きさが120~140cm前後あるので、群れを成して渡っている姿は迫力がありますよ。 この記事ではハチクマの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。

 

ハチクマの特徴は?

ハチクマ6

大きさ

  • オス: 57cm
  • メス: 61cm

外見の特徴

  • 暗褐色の体上面
  • 長くて幅の広い翼
  • オスは尾羽に2本の太い帯状斑
  • メスは尾羽に数本の細い帯状斑

ハチクマの全長はオスが57cm前後でメスが61cm前後、翼開長(翼を広げた大きさ)は121~135cmほどです。 オス・メス共にほぼ褐色の体上面をしていますが、体下面は「暗色型」「淡色型」「中間型」があるため個体差がありますよ。 オスは顔が灰色で、虹彩は赤みがかった暗色をしています。尾羽には2本の太い帯状斑がありますよ。メスは虹彩が黄色で、尾羽に数本の細い帯状斑があります。

 

ハチクマの生態は?

ハチクマ2

生態

  • 動物食
  • 繁殖
  • 求愛ディスプレイ

 

動物食

ハチクマの食性は動物食です。 夏と冬には、アシナガバチやスズメバチなどの蜂の巣に詰まった「幼虫」や「蛹(さなぎ)」を食べますが、ハチが少なくなる秋から冬にかけては「昆虫」や「小鳥」「カエル」「ヘビ」などの動物も捕食しますよ。 また、ハチクマは凶暴なことで知られるオオスズメバチが地中に作ったハチの巣であっても、大きな足で掘り起こし捕食してしまう事でも知られています。

ハチクマは、ハチに刺されても平気?

ハチクマが、ハチの攻撃を受けても平気な理由は分かっていません。 しかし、全身を鱗のように覆う厚く密生した硬い羽毛がハチの毒針から体を守ってくれているからではないかと考えられていますよ。

 

繁殖

ハチクマは産卵期の6月になると、アカマツやカラマツの樹上(10~25m)に木の枝を束ねて作った産座に松葉を敷いた椀状の巣を作ります。

冬になると東南アジアに渡って冬を越しますが、毎年同じ縄張りに戻ってきてヒナを育てます。このとき巣も繰り返し再利用するため、毎年新たに付け加えられる木の枝によってかなりの大きさになりますよ。

一腹卵数は1~3個(通常2個)で、メスによる28~35日の抱卵期間を経て卵は孵化しますよ。ヒナは孵化してから約35~45日で巣立ち、巣立ち後30~60日程度で親から独立していきます。

 

求愛ディスプレイ

ハチクマは繁殖期になると、急上昇した後にバンザイをするように両方の翼をほぼ垂直に立てて先端をパタパタと叩き合わせる独特の求愛ディスプレイをすることでも知られています。

 

ハチクマの分布は?どこに生息している?

ハチクマ3
ハチクマは、ユーラシア大陸東部の温帯から亜寒帯にかけて広く分布しています。 ロシアのバイカル湖付近から中国東北部にかけてとインドから東南アジアにかけての地域で繁殖しますが、北方で繁殖した個体は冬になると南下してインドや東南アジア方面の地域に渡り越冬しますよ。

数は少ないですが、日本へは初夏に夏鳥として渡来し九州以北の各地で繁殖します。

 

ハチクマの鳴き声は?

ハチクマ4
ハチクマは、「ピューウ」と鳴きます。トビに似た鳴き声で、トビよりも短く透き通った声で鳴きますよ。 ただ、ハチクマは個体数が少ない上に威嚇声や警戒声のない鳥なので鳴き声を聞くことは至難の業といえるかもしれません。

 

様々な飛翔を観察してみよう!

ハチクマ1
ハチクマは様々な飛翔をするので見ていて飽きない鳥ですよ。 秋分の日前後の風が弱くてよく晴れた日が観察に適しているといわれているので、機会のある方はぜひ観察してみてくださいね。