犬の胃拡張・胃捻転、原因と症状、治療と対策法。手術は?術後は?

  • 愛玩動物看護師
  • 監修者:渡邉鈴子
栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

胃捻転(いねんてん)は、胃がなんらかの原因によってねじれてしまう急性の病気です。急に胃が拡張すると起こることが多く「胃拡張・捻転症候群」とも呼ばれます。突然発症し、短時間で死に至ることもある恐ろしい病気なのです。

今回の記事では、犬の胃捻転の原因と症状、治療と対策法などについてまとめました。

この記事でまとめたこと

     
    <h2>犬の胃捻転、原因は?</h2>
    <img class=”alignnone wp-image-4185 size-full” src=”https://er-animal.jp/pepy/wp-content/uploads/2015/03/f653114a51588572b567267b349f0be3-e1483631642363.jpg” alt=”犬_かゆい_病気” width=”480″ height=”291″ />
    胃捻転の原因は完全には明らかにされていませんが「食後の激しい運動」「早食いや一気飲み」「胃下垂」「遺伝的要因」「ガスを作りやすい食事」「胃を支えているじん帯の伸び」といった要因が複雑に関連しているといわれています。

    グレートデンやジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーといった胸の深い大型犬でよく起こりますが、小型犬や中型犬にも起こる可能性はあります。また、老犬は胃を支えるじん帯が伸びてしまっていることが多いため、胃捻転を起こしやすいといわれています。

    <strong>愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん</strong> 胃拡張・胃捻転症候群は雄犬に多い傾向があります。

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    <h2>犬の胃捻転、症状は?</h2>
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    犬が胃捻転を起こすと、食後1~4時間以内に突然落ち着きがなくなり、何度も吐きそうな様子を見せたり、胃にガスがたまることでおなかが大きく膨らむ症状が現れます。症状が進むと立っていられなくなり、ふらついて呼吸が速くなります。さらに症状が進むとショック状態に陥ってしまい、多臓器不全を起こして短時間で死に至ります。

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    <h2>犬の胃捻転、治療法は?手術は必要?</h2>
    <img class=”alignnone wp-image-1310 size-full” src=”https://er-animal.jp/pepy/wp-content/uploads/2015/01/shutterstock_188019227-e1483588173892.jpg” alt=”ラブラドールレトリーバー_犬_病院_病気_注射” width=”480″ height=”320″ />
    胃捻転は緊急性の高い病気であるため、早急に動物病院に連れて行って治療を行う必要があります。

    多くの場合、病院に運ばれる頃にはすでにショック状態に陥っているため、点滴でショック状態の回復をはかり、胃へのチューブ挿入や胃穿刺(せんし)を行うことによって胃のガスを抜きます。

    犬の全身状態が落ち着いてから、全身麻酔の上で外科手術を行い、胃のねじれを元に戻します。再発防止のためにも胃は固定します。

    致死性の高いとても怖い病気であり、深夜の時間帯での発生率が高いことから、ほとんどの場合緊急手術が行われます。緊急手術を行った場合、手術費用は20~30万円前後かかります。胃捻転発生リスクの高い大型犬を飼育する場合は、事前に保険に入るなどして、万が一のときの準備をしておいてくださいね。

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    <h2>犬の胃捻転、術後は?</h2>
    手術後は、とにかく安静にすることが重要です。目安は1〜2週間ほどです。激しい運動は1ヶ月以上控えたほうが良いですよ。食事内容は獣医師と相談して、決めたものを守ってあげてくださいね。

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    <h2>犬の胃捻転、対策は?</h2>
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    胃捻転は、胃に食べ物が多く入っている状態で激しい運動をすることで起きやすくなります。「食後数時間は散歩や激しい運動をさせない」「1回のごはんの量を減らす」「消化の良いごはんを与える」「一気食いできないような食器を使う」「新鮮な水が常に飲めるようにしておく」といった工夫が必要です。

    それでも胃捻転を起こしてしまった場合は、とにかく早く病院に連れて行って治療を行うことが大切です。胃捻転が疑われる症状が見られたら、すぐに動物病院に連絡してください。大切な愛犬を急性の胃捻転で失うことがないように、普段から愛犬の様子を観察してあげてくださいね。