カモメといえば海の上を優雅に飛んでいるイメージがありますよね。日本だけでも25種のカモメが存在します。ユリカモメは「入り江にいるカモメ」だったことから名前がつけられたなど由来は諸説ありますが、「ユリのように美しいカモメ」と知られていますよ。
日本の古典文学に登場する「都鳥」はユリカモメである可能性が有力だといわれています。この記事ではユリカモメの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。
この記事でまとめたこと
ユリカモメの特徴は?
大きさ
- 40cm
外見の特徴
- 赤いくちばしと足
- 夏冬で変化する頭部
ユリカモメは全長40cmと小型のカモメです。翼を広げた大きさもおよそ93cmで100cmには及びません。赤いくちばしと足がよく映える真っ白な体が特徴的で、水上の群れはまるでユリの花畑のように美しいですよ。
季節に応じて羽根が生え変わるので、夏と冬では頭部の羽色が違います。夏は頭巾を被ったような黒褐色ですが、冬は白く目の後ろにヘッドホンをしたような黒い斑点が現れます。
同じくカモメの仲間でくちばしが黒く短い「ズクロカモメ」によく似ていますが、ユリカモメは赤くて細長いオシャレなくちばしが特徴ですよ。
ユリカモメの生態は?
生態
- 成長スピードが早い
- 大規模な集団生活
- 雑食性
成長スピードが早い
厳しい自然を生き抜かなければならないカモメは成長スピードが早い野鳥です。春に生まれた年の秋には巣立ち、来春には成鳥として繁殖可能な状態になりますよ。
大規模な集団生活
ユリカモメは海岸や内陸の湖沼や河川に比較的大規模な群をつくり生活しています。大きな河川で河口から10 km以上も群れが続くことも珍しくありません。夜になると海に戻り、沖合のいかだなどにつくったねぐらへ帰ります。
雑食性
ユリカモメは基本的に魚や甲殻類を食べますが雑食性なので食べ物であれば何でも食べます。環境によって昆虫や雑草の種子などを食べるケースもありますよ。昼間は餌場にいますが、夜間は別の海上や大きな湖で過ごす習慣があります。
ユリカモメの分布は?どこに生息している?
ユリカモメは冬鳥です。日本全国の海岸や河川、沼地などに渡来する小型のカモメ類は大半がユリカモメともいわれています。
繁殖期にはユーラシア大陸北部やイギリス、アイスランドなど寒い地域に分布しており、冬には南に渡り日本上空も4月や秋頃に渡来が確認できます。中には北アメリカ東海岸まで渡るものもいるようです。
日本では京都市の鴨川で多く姿を確認することができ、比叡山上空を通過し、夜は琵琶湖で過ごします。
ユリカモメの鳴き声は?
ユリカモメは仲間とのコミュニケーションや警戒の際に「ギィー」「ギュウーィ」といった地鳴きをします。人間の「しわがれ声」によく似た鳴き声であまりきれいな声ではありません。
幼鳥の頃は可愛らしく「ミィ―」と鳴き、成長とともにしわがれ声に変化しますよ。
集団で餌を狙うユリカモメ
ユリカモメはシギやチドリなどが泥中から引っ張り出した獲物を横取りするという「盗賊」のような一面も持ちあわせています。船旅や海岸にユリカモメが出没するのはそのためです。
人間がカモメに食べ物を奪われる被害も少なくありませんよ。集団の中の1羽でも食料を持っていることを知ると、他の仲間も引き連れて更なる被害をもたらしかねません。
海岸沿いでカモメに餌をあげるのは楽しいですが、群れを作っているカモメには極力何も与えないことをオススメします。