猫も人間と同じで尿の色で健康状態を把握できます。猫の正常な尿は黄色ですが、血尿と呼ばれる赤い尿が出ることがあります。血尿が出たら、命に関わる大きな病気が潜んでいることもあります。
この記事では、猫の血尿の原因と危険な場合のサインについてまとめました。
この記事でまとめたこと
猫の血尿、原因は?
血尿とは、尿に血液がそのまま含まれる症状のことです。似た症状に血液の「成分」だけが尿に混ざる「血色素尿」がありますが、一般的に猫の血尿は「血色素尿」も含めた症状のことをいいますよ。原因はそれぞれ違います。
血液がそのまま含まれる血尿

「血尿」は膀胱や腎臓などの臓器に異常がある場合にみられます。
「事故などで腰の周辺にケガをしている」「腎臓の病気にかかっている」「膀胱中で結石ができて粘膜が傷ついている」「膀胱炎などの尿路感染症を起こしている」などが原因で、膀胱や腎臓から出血が起きていることが多いです。
血液の成分が尿に含まれる血尿(血色素尿)

血色素尿は、体内で「溶血」を起こしている場合にみられます。溶血とは血液の中の赤血球が大量に壊されてしまう状態のことです。
呼吸によって体内に取り込んだ酸素は、赤血球によって運搬されるので、溶血を起こした猫は酸素が全身に回らなくなってしまいます。
「タマネギなどのネギ類を食べた」「赤血球にヘモプラズマなどの寄生体がついている」「ネコ白血病ウイルスに感染している」ことが原因として考えられます。
ヘモプラズマへの感染は完全には解明されていません。これまでは、唾液から病原体が検出されたことから、食器の共有等による間接的な感染の可能性が示されていました。しかし、最近の研究ではそのような感染経路は成立しないことが判明しています。現在では、外部寄生虫による吸血や猫同士の喧嘩による傷、母から子への垂直感染が主要な経路とされています。
ネコ白血病ウイルスへの感染は、病原体を持った猫との接触で感染します。具体的には「毛づくろい」「共同の飲食」「垂直感染」「母乳感染」「交尾」などが挙げられます。
血尿に加えてふらふらしていたり、口の中が白い、吐きそうな様子のときは溶血を起こしている可能性が考えられます。血色素尿の場合は血尿の症状のほかに貧血症状が見られることがほとんどですよ。
猫の血尿、危険なサインは?こんなときはすぐ病院へ

すぐに病院に行くべき危険なサイン
- 落下や事故で負傷している
- 性器から出血がみられる
- 元気がなく、ふらふらしている
- 尿がほとんど出ない
- 腹部が膨らんでいる
- 口の中が白や黄色に変色している
- タマネギなどのネギ類を食べた
- 激しく嘔吐する、吐くそぶりをみせる
猫の血尿は「慢性の膀胱炎」が原因であることもあれば、「赤血球が破裂している」といった緊急治療が必要な場合もあります。血尿に加えて、上記にまとめた症状が1つでも現れている場合はすぐに病院に連れていってあげてください。
また、事故にあったりタマネギを食べたりした後は、血尿症状の有無に関わらずすぐに動物病院に連れていく必要があります。
他にも、「血尿をしているけれど尿そのものはほとんど出ていない」「腹部が膨らんでいる」場合は、腎臓や膀胱が破裂したために尿がお腹の中にたまって排出できなくなる「急性腎不全」を発症している可能性が高いです。
短い時間で急速に状態が悪化し、死に至ることもある危険な状態ですよ。
猫の血尿の主な要因、膀胱炎や尿路結石にならないために
猫の血尿の原因として多くみられるのは慢性の膀胱炎や尿路結石です。他には、特発性腎出血、腎・尿管・膀胱・尿道腫瘍、全身性疾患(中毒や血液病など)、外傷(転落・交通事故など)があります。
以下ではメインの原因である「膀胱炎」と「尿路結石」について説明します。
膀胱炎

対処方法
- トイレの環境を清潔に保つ
- 飲水量を増やす
- 食事管理
膀胱炎は細菌の感染によって発症する「細菌性膀胱炎」とさまざまな原因が複合的に組み合わさって発症する「突発性膀胱炎」の2つがあります。
細菌性膀胱炎にならないためには、「トイレの環境を清潔に保つ」「飲水量を増やす」の2つがポイントです。細菌が繁殖しにくい環境を作るとともに、体内に入った細菌をきちんと排出できるように適切な量の水を飲ませてあげてください。
突発性膀胱炎の主な原因は、肥満、飲水不足、寒さ、ストレスといわれています。現状の環境や体調管理の見直しが対処法につながります。
膀胱炎には全ての猫種で若齢から高齢までかかる可能性があります。治療法は原因により異なります。
尿路結石

対処方法
- 塩分を摂りすぎない
- ミネラルを摂りすぎない
尿路結石は、ミネラル成分の過剰摂取や尿のpH値がアルカリ性に傾くことが原因といわれています。
塩分の多い人間の食べ物を与えないように心がけ、低マグネシウムと記載されているキャットフードを選ぶことでケアをすることができますよ。
ペルシャ、バーシーズ、ヒマラヤンがかかりやすいといわれていますが、実際にはどの猫種もなることがあります。ただ、純血腫のほうがなる確率は高いですよ。
治療は食事やサプリメント、感染を伴う場合は抗生剤、結石の場所によっては手術をすることもあります。
膀胱炎や尿路結石の対策におすすめのキャットフードは?

尿路結石ケアに役立つフード2種
- ロイヤルカナン pHコントロール2 ドライ
- プリスクリプション・ダイエット™(特別療法食) <猫用> c/d™ シーディー マルチケア チキン ドライ
ロイヤルカナン pHコントロール2 ドライ

pHコントロール2は、下部尿路疾患をもつ猫向けに特別調整された食事療法食です。
ミネラルバランスを調整することで健康的な尿量を維持、尿が弱酸性になるように配慮しています。
療法食なので自己判断ではなく、必ず獣医師に相談してからあげるようにしてください。
プリスクリプション・ダイエット™(特別療法食) <猫用> c/d™ シーディー マルチケア チキン ドライ

プリスクリプション・ダイエット™ 〈猫用〉 c/d™シーディーマルチケアは、愛猫の尿ケアをサポートする療法食です。
脂肪酸比率を調整するだけでなく、加水分解ミルクプロテインを配合することで精神面の健康維持にも配慮しています。
ただ、このフードは食事療法食なので、自己判断ではなく獣医師の指示のもとであげるようにしてください。
日頃から猫が血尿を出していないかチェック!

血尿は命に関わる病気のサインでもあるので、日頃から血尿が出ていないか、トイレの砂やペットシーツを見てチェックしてあげてください。
外で飼っている猫の場合は発見が遅れてしまうことがあるので、猫にとって快適なトイレを室内にも用意しておき、猫のおしっこの状態を確認して事前の対策と早期発見に努めてくださいね。