愛犬の手作りごはんに味付けがいらない理由と、「香り付け」のポイントまとめ

  • 記事作成者:神波 将宏
pepy編集長。薬剤師国家資格、ペット救急救命士、ペット介護士、ペット食育士2級の資格を保有。 薬学とペットの専門知識を活かし「ペット専門マーケター」として活動中。

愛犬に手作りごはんを作る際、多くの人が誤解しているポイントが「味付け」です。

なんとなく「薄味でよい」ということはご存知な方も多いと思いますが、「香り付け」が大切だということを知っている方はそこまで多くありません。

この記事では愛犬の手作りごはんの香り付けの仕方や犬の味覚について詳しくまとめています。

 

愛犬の手作りごはんに味付けするときのポイント

味付けのポイント

  • 味付けはいらない
  • 香り付けを重視する
  • 香り付けの食材は少しでOK

早速、愛犬に手作りごはんを作る上で重要な味付けのポイント3つを解説します。

 

味付けはいらない

「味付け」についての1つ目のポイントは「味付けはいらない」です。

犬の味覚は人間の5分の1ほどしかなく、食べ物の美味しさをほとんど「味覚」では判断していないからです。

味が全く無くても次に紹介する「香り」があれば、ちゃんと食べ物を美味しいと感じてくれます。

 

香り付けを重視する

2つ目のポイントは「味付けではなく、香り付けを重視する」です。

なので手作りごはんは基本、香りを立たせるようにします。

かつお節いりこ桜えびなどの乾物、肉の茹で汁納豆味噌ヨーグルトなどの発酵食品、オリーブオイルごま油などの香りは特に好む犬が多いですよ。

 

香り付けのための食材は少しでOK

最後3つ目のポイントは「香り付けの食材は少量でOK」です。

犬の嗅覚は人間の10万倍以上といわれていますので、ほんの少しのトッピングで十分な香りづけになるからです。

参考までにかつお節や桜えびであればひとつまみ程度、オリーブオイルやごま油、味噌であればティースプーン1杯程度で十分ですよ。

 

愛犬のごはんに味付けがいらない3つの理由

上記で紹介した「味付けはいらない」の理由をもう少し詳しく紹介します。

 

理由1:そもそも味を感じにくい

これは上記でも触れましたが、そもそもが犬は味を感じ取りにくい動物です。

味は舌にある「味蕾(みらい)」という細胞で感じ取りますが、味蕾の数が犬は人間の5分の1程度しかないのです。特に塩味はほぼ感じ取れないので、味付けの必要はありません。

 

理由2:必要な塩分量が少ない

感じ取れないと入っても塩分は動物の活動を支える上で重要な栄養素で、全く摂らないわけにもいきません。

ただ、犬が1日に必要とする塩分(ナトリウム)の量は極々少量です。手作りごはんの場合は、食材に元から含まれている塩分の量で十分足りてしまうのです。

栄養摂取の面からみても、料理にわざわざ味付けをする必要がないのです。

 

理由3:偏食につながる

味が濃い料理は大体、香りも強烈に立っています。ラーメンやフライドチキンなどを想像するとわかりやすいですね。

犬にとってはこうした料理は「美味しそうすぎる」のです。

もしも普段の食事と同じようなタイミングでフライドチキンをあげていたら、主食であるドッグフードや他の料理を食べてくれなくなってしまいます。

これは飼い主さんのしつけの問題なのですが、味の濃い料理が偏食を助長することは実際に起こり得ることです

こうしたデメリットを避ける意味で、味付けはしないほうが良いと考えています。

 

犬の「美味しさ」判断基準

突然ですが、「美味しさの3大要素ってなに」と聞かれたら何を思い浮かべますか?私(筆者)の場合は、「味」「見た目」「食感」でしょうか。

人であっても意見が分かれることですが、犬の体の特徴から考えるとみえてきた重要な判断基準について3つご紹介します。

 

判断基準1:香り

「香り」は犬が美味しさを判断するもっとも大切な要素だと考えます。なぜなら犬は味覚や視覚が乏しい分を「嗅覚」で大幅にカバーしているからです。

犬の嗅覚は人間の10万倍以上といわれます。香りの種類によっては1億倍も鼻が利くとされ、人間よりも繊細に広範囲の香りと奥行きを嗅ぎ分けていることが予想できます。

こと食事においても、「嗅覚」を一番に働かせて香りを探っているはずです

 

判断基準2:食感

食感は嗅覚の次に大切な要素だと考えます。特に動物肉の脂身を噛んだときの食感を好む犬が多いです。噛んだときに少し力を入れれば噛みちぎれるくらいの食感です。

「噛みちぎる食感」や「砕く食感」が楽しくて食事を楽しんでいる子もいるそうですよ。

犬は主に「切歯」と「犬歯」で食材を飲み込める大きさに砕き、「臼歯」で少しだけ咀嚼してそのまま飲み込みます。

切歯と犬歯の噛みごたえ(食感)は重要な要素のはずです。

 

判断基準3:甘味

犬は人間ほどではないですが、甘味もほのかに感じとることができます。

これは野生時代の食材の味を「甘味→カロリーが採れる食材→貴重で好きな食材」と記憶しているからではないかと筆者は考えています。

ちなみに酸味と苦味も犬は少し感じ取ることができますが、これは危険察知のため身につけた能力です。

 

犬の味覚について詳しく知りたい方

さらに詳しく犬の味覚について知りたい方のために、味覚ごとの詳しい解説を紹介しています。

 

甘味

甘味は犬が感じとることができる味覚の1つで、好む傾向があります。

甘味がする食べ物には「糖質」や一部の「アミノ酸」が豊富に含まれていて、どちらも大切なエネルギー源になります。野生のオオカミだった時に本能で覚えた味なのではないかと考えられます。

 

酸味

酸味も犬が感じとることができる味覚の1つですが、嫌う傾向があります。

酸味は腐った食べ物にみられる特徴なので、危機管理の本能として酸味を嫌うようになったのではないかと考えられます。

 

苦味

苦味も犬が感じることができる味覚の1つで、嫌う傾向があります。

苦味は毒がある植物や昆虫の味にみられる特徴なので、危機管理の本能として苦味を嫌うようになったのではないかと考えています。

 

塩味

塩味は、犬がほとんど感じることができない味覚です。

1日に必要な塩分量は人間よりはるかに少ないですが、「1度に食べても大丈夫な塩分の許容量」は人間よりも多いといわれています。野生下では主に動物肉から塩分を補給していました。

 

旨味

旨味を犬が感じることができるかは、よくわかっていません。ただ、旨味成分である「グルタミン酸」や「イノシン酸」を豊富に含む食事を好む犬はたくさんいます。

辛味

辛味は厳密にいうと味覚ではなく「痛覚」です。

もちろん痛覚は犬にも備わっているので感じとることはできますが、あえてあげる必要はありません。

 

まとめ

基本的に犬のごはんに味付けは不要です。味付けに重点を置くのではなく、食材そのものが持つ味を生かしながら香り付けを重視してあげてください。

 

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